この先もずっと、キミの隣で。
「……柳瀬、ありがとね」

保健室に向かう途中の廊下で、俯きながら呟くようにお礼を言った。だって、可愛くお礼なんてできないし。


「心配ばっかかけんじゃねえよ」

柳瀬は私の腕を掴んだままそう言った。


授業中だから廊下には誰もいないけど、こんな格好だから今は誰にも会いたくない。

エプロン着て指にハンカチ巻いて、調理実習で指切ったのバレバレだもん。


保健室に着くと、ドアにあいにく“先生不在“のプレートが掛けられていた。

鍵のかかっていない保健室は誰もいなくて、二人きりになってしまった。


「そこ座ってろ」

「はい」

私はおとなしく柳瀬の言うことを聞き、中央に置かれた長椅子に腰掛けた。
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