この先もずっと、キミの隣で。
「……ほら」

ぶっきらぼうなそんな声が聞こえて差し出された右手。



驚いて固まった私を見て、


「なにしてんだよ」

強引に手首を掴んで歩き出した。


「えっ、ちょっと柳瀬」

「とりあえず、俺ん家行くぞ」


「いいってば」

振り払おうとしたけれど、強く掴まれた手は離れない。



「そのままいたら風邪引くだろうが」

歩きながらそんな声が聞こえてきた。



傘もなく、家にも入れない。

気持ちが沈んでいると、柳瀬が救世主、いや神様にも見える。不思議なものだ。

傘を差し出してくれた柳瀬の横顔を見ながらそんなことを思っていた。
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