この先もずっと、キミの隣で。
「ねぇ柳瀬、聞いてる?」

「うるせーな。お前に言う必要ないだろ」

「なにそれ。ずるいよ、柳瀬ばっかり」

いつもそう。人の心にはズカズカ入ってくるくせに、自分のこととなると何にも教えてくれない。


「まぁ強いて言うなら鈴木よりは……」

「……よりは?」



「お前みたいなやつの方がいいな」

「は?」

驚き過ぎて、間抜けな声が出てしまった。


「見てて飽きないからな、お前は」

「なにそれ、どういう意味?」

「もっとしっかりしろってことだよ、ばか」

「はぁ?」


「危なっかしくて目が離せねーよ」

いつものように言い合っていたら、学校に着く頃には、柳瀬にキスされたことなんか忘れてしまっていた。

そう。もやもやするんだったら、全部なかったことにすればいいんだ。
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