こんなにも愛しているのに〜私はましろ
「何の不満もない、、、か。」

「あぁ、だから結婚できたことは幸せだし、式も楽しみだ。」

「結婚しているのに、陸に堂々と迫る人もいる、、、」

うれしそうに言う陸に、水を差すようなことを言ってみた。

私からそういう切り返しをされるとは思わなかったのか、陸が瞬間
固まった。

「知っているのに、私を無視する人はいるわよね。
呼吸器科の安西先生とか、、、?」

「えっ、、、、?」

「何でって。。。ここで、安西先生の名前が出るの、はなんでって?」

「。。。。。」

私は夜明けに、電話で陸を叩き起こした訳を話した。

「はぁ、、、」

陸は大きなため息をつくと、両手で顔を覆った。

「何があったんだろうね、二人に。

5時間後に仲良く車で、病院に戻って、二人とも同じ服で、
楽しかったわって。。。

何があったの?それとも、単なる噂で、そんなことはなかったのかしら?」

「安西先生は、先輩だし、無下にもできなくって、距離が近いなぁって
思っても、俺が誤解されるような態度を取らなければいいと思って。

あの日、夜勤明けから久しぶりの2連休で、早く帰ってましろと
一緒に外食でもしようって、思っていたのだけど、ましろは急患で
駆り出されて、そんな時に達から連絡があって、キャンプしようぜって。」

そういう日だらけで、それがいつの日か特定できないけど、きっと
私が急患を見届けてから、疲れて帰っても、帰宅したはずの陸が
不在だった日のことだろう。

「帰ってもましろがいないんだったらって、キャンプの話に乗って
車に乗ろうとしたところに、安西先生がやってきて、これから行くんでしょって
言われて。
安西先生は他の先生から誘われたらしい。でも、達主催って聞いて
俺も行くのじゃないかって、、、

その通りだったから、偶然ですねって言ったら、自分は今日はオンコールだから
私は車を出さなきゃいけないの。
一緒に行ったほうが良くないって、言われて。。。」

「まんまと誘いに乗った。。。。」

「近場にあるグランピンキャンプ場で、やたらゴージャスで、もう飲んで
出来上がっている人たちもいて、、、

俺は意識して飲まなかったんだ。
キャンプと聞いて、泊まるつもりだったけど、思っていたのとは違って、、

陰に達を呼んで、なんだこの会はって文句を言ったら、達も予想以上の
盛り上がりに困惑していて、、、

なのに、達は相変わらずで俺は怒って、もう帰るって、達に車のキーを
出せって言ったら、みんなから絡まれて、
帰るに帰れなくなってしまって、、、酒も飲まされて。

そしたら、安西先生にオンコールがかかって、病院へ戻るって
言われて、飛びつくようにそれに便乗して、病院まで帰ったんだ。
病院まで行けば、タクシーも呼べるって。

そしたら、安西先生が帰り際に今日は楽しかったわって、、、
グランピングのことかと思って、お愛想で俺もって。」

ため息しか出なかった。

「陸、、、この先私は、陸のそういう話にどれだけ付き合わなければ
いけないのかしら。

陸と一緒にいる間中?

陸は私に不満も何もないって言っていたけど、じゃぁなぜ
新人ナースから、’うちの奥さんは冷たいって、、、自分が合コンに行っても、
可愛いナースちゃんたちと、飲みに行ったり、カラオケに行ったりしても、
やきもちひとつ焼いてくれないって。
愛されてないのかな〜って。’

って、陸が言った私への愚痴を聞かされなきゃいけないのかしら?

陸は、私がいないところで、私への不満を言っているのよね。
そんなことを言われて、私が気分が悪くなるって、思わなかった?」

陸の顔色が段々と悪くなった。

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