こんなにも愛しているのに〜私はましろ
「それは、、、何気なく言ったことで、そこだけ取られると、変に
聞こえるかもしれないけど、、、」

陸がしどろもどろになりながら、言い訳をする。

「陸が日頃のストレス解消と、職場のみんなとの円滑さを図るために
ナースやドクターと食事に行ったり、飲みに行ったり、カラオケに
行ったりするのは、陸の勝手だと思う。

けど、そこで私への愚痴を言うのは違うでしょ。
まるで、私への不満を餌に自分に好意を持っている人を、釣っているよう。。。。

陸が他の女の人に興味があるのなら、私と別れてからにしてほしい。
私は、今のままじゃ式を挙げるどころか、結婚生活を続けることも、できない。」

「ましろっ!!」

陸は真っ青になって、私の両腕を掴んだ。

「陸、痛いから離して。」

「ごめん、、、でも、ましろと別れたいだなんて夢にも思っていないから。
達から唆されて、合コンやキャバクラにも行ったけど、それだけだから、、、

安西先生のことやナース達のことは、強く断れなくって、、、
でも、そんな噂が出るなんて、、、もう、やめるから。」

私はため息をついた。

「陸、、、そういうことじゃないの。
やめるとか、やめないとか、、、陸の姿勢よ。」

「。。。。」

「陸は私に対して、やましいことはしていないからって、、、本当は
悪いこともしていないのに、何で私が怒るのか、わかっていないでしょう?

だから
誘われれば断らないし、周りからどう思われようとも、誤解されようとも
安西先生と怪しげな行動をとる。。。

悪いことをしていないのだったら、何で合コンに行ったことや
キャバクラに行ったこと、安西先生とグランピングに行ったことを
言わなかったのかしら?

達と一緒だった、、、確かにそうよね。
あなた達は今も昔も、相手を理由に付き合って来ているのよね。」

「いや、、、達は悪くない。
嫌だったら、断ればいい話だったんだ。」

「どちらが悪いかいいかなんてじゃなく、陸がどう思って
人と付き合っているかよ。。。

安西先生との仲を知らない人が見たら、誤解されると思わなかった?
ナース達と行った食事やカラオケで、私の愚痴を言ったらどう思われるか
なんて思わなかった?

それより、私に秘密にして他の女の人と出かけたことが私にどう思われるか
なんて、思わなかった?」

陸は黙ってしまった。
きっと何でもないことで、どうして私が結婚を止めようなどと言い出したか
わかっていないのだと思う。

「陸はあのストーカー事件以来、女の人に断固とした態度を
取れなくなっているんだよね。」

「あんなに酷いことをしなければ、彼女は助かったかもしれないって、、、」

「陸のせいじゃないでしょ。
ストーカーをする彼女のやり方が間違っていた。
もっと早くに、陸が警察や大人に相談をすればよかったということで
ストーカーされたのは陸のせいではない。

ただ、陸のやり方が間違えていただけ。

なのに、それが原因で女の人からの、誘いを断れないなんて根本を
間違えていると思う。」

この男は大人になってもわからないのか。

「陸が、あの子の前でふりだけだとしても、ホテルに入っていく姿を
見せるとか、、、そういう間違った行動が、余計に追い詰めただけでしょう。

今の陸がやっていることはそれと同じ。
私があの子と同じ。

陸のそういう行動に、私が傷ついていないって思ってた?」

「ましろ、、、」

「陸が何をしようと、自分で責任を持てるのなら、それは陸の勝手よ。
でもそれで私が、傷つかないと思っているのなら、それは大きな間違いだから。

昨日みたいに、私がよく知りもしない新人ナースに、私が知らない
陸のことを言われ、おまけに安西先生のことまで言われ。
そんな噂が病院中に駆け巡っているのに、陸はそれでも平気で
安西先生と付き合っているのよね。。。

先輩だから、、、それだけ?

あんな美人に言い寄られて、悪い気はしないでしょうね。」

「違う!安西先生は先輩って言うだけで、それ以上でも以下でもない!
俺はましろが大事だから、安西先生とそういう付き合いはできないって、、、!」

陸が余計なことを思わず口走ったことに気づき、ハッとして真っ青になった。
血が水に変わる瞬間って、このことだろう。

「安西先生とそういう付き合いになりかかっていたんだ、、、」

「いや、違う。言い寄られたけど、断っている。それ、ちゃんと断っている。」

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