こんなにも愛しているのに〜私はましろ
「陸が良かれと思ってしていることが、結局こういうことなんだよ。

グランピングに行って、一緒に病院へ戻ってきても、
本当のことを知っているのは二人だけで、周りから見たら、
何をして来たのって思われている。

私だって思う。
私に何も言わないで、二人で行って二人で戻ってきて、楽しかったわ、、、

陸がやましいことがないって言っても、
そんなこと周りにはわからないことでしょ。

結婚しているのに、誘われたら、ホイホイついていく陸に、私のことで
愚痴を漏らす陸に、みんなから夫婦関係がうまく行っていないって
思われても仕方がないわよね。

私たち、お互いが休みだった時、どれくらい一緒にいた?
どのくらいお互いのことを話した?」

「ましろ、、、ごめん。

そんな面白くない話をして、誤解されたくなかった。
断れずに行っているのに、それでも、ましろは面白くないだろうなって思うと
言えなかった。

でも、気になる人がいるからとか、安西先生に好意があるとか、
やましい気持ちは一つも持っていないから。」

「そんなふうに言いながら、嫌だと言いながら、私たちの結婚生活と
同じ長さくらい、今みたいなことを繰り返しているよね。

手塚くんが来てからは余計に。

なのに、私が美郷ちゃんに手塚くんのことで、意見を言うと
余計なことをするなと言う。」

「そんなつもりで言ったんじゃない。
二人のことは二人で考えればいいことって、、、」

「それぐらいわかっているけど、私たちのことはどうなるの?

手塚くんは陸が結婚しているのをわかっていて、合コンにも誘うし、
キャバクラにも、怪しげなパーティのようなグランピングにも誘う。

陸も、手塚くんに腹を立てながらも断らない。

もうね、本当に嫌なの。
そんな節操がないあなたが。

いつ、私たちの間に知らない女の人が、入ってくるのだろうって思うと。

そうでしょ。何もないからって言いながら安西先生からは誘われるし
新人ナースは私がいらないら、もらってもいいですかって言われるし
何より、そんなことを言わせる陸が一番嫌なの。」

「。。。。。」

「結婚式は挙げない、、、挙げられない。
このまま結婚生活も続けられない。私は陸を信じられない、、、」

「ましろ、ごめん。もうこんなことは金輪際やめるから、
ましろが安心して暮らせるようにするから、考え直してくれ。

達とも、もう付き合わない。
安西先生にもキッパリと線を引いてもらうから、、、」

陸が床に座って、頭を下げた。

「土下座とかやめてくれる。。。?
手塚くんと縁を切れるはずもないでしょ。安西先生にも誰にも
そんなことを言えないでしょ。

あのストーカーの時のことが骨身に染みていたら、こんなことを
しなかったはずよね。
あなたの軽率な行動が、どんなに周りの人を傷つけたか。。。

あなた一人だったらいい。けど、今は私と結婚しているのよね。
私は傷つけてもいい人だったの?自分がいい顔をするために
私に我慢をしろって、潔白で何のやましいことにもなっていないからって、、、」

涙も出ないほど、情けなかった。
自分が陸の何の支えにもなっていない、自分の無力さが
恨めしかった。
< 104 / 117 >

この作品をシェア

pagetop