こんなにも愛しているのに〜私はましろ
3、4時間ほど寝て、アラームで起こされた。

きっと
陸はそのままリビングにいるに違いない。
本当は
このまま家を出ていきたかったが、病院もあるし、後先考えないようなことは
できなかった。

『カチャ。。。』

ドアを開けたら、すぐ前の壁にもたれかかるように座っている陸がいた。

膝を抱え、その中に顔を伏せていた。
私がドアを開けると同時に、顔をパッと上げた。

「ましろ、、、」

「お義母さまとの約束は。。。」

「具合が悪いって言って、断った。」

「そう、、、」

リビングに行く私について、陸もふらりと立ち上がった。

「ましろ、、、もう決めたのか?
二人の結婚生活なのに、ましろが決めて、終わりにするのか?」

陸の声が私を追いかける。

「俺は、言ってもらわないとわからない。
ましろも何も言わないし、病院でアホみたいに女の子達の相手をしている
俺とすれ違っても、何一つ言わないから、、、、
俺もましろが一番大事だ、ということが伝わっていると思っていたから、、、」

「、、、、」

「本当に言い訳ばかりで、嫌になってしまう。。。

でも、ましろ以外の女なんてどうでもいいんだ。
自分の身可愛さにやっていたことが、こんなにもましろを傷つけていた
なんて夢にも思わなくって、、、

自分が嫌なことだから、ましろも話を聞いたら嫌だろうなんて、、、」

「私を思ってのことだったって言いたいの?」

「間違っていたけど、その時はそう思った。」

ここでまた、大きくため息をつくことになった。

「陸は何もわかっていない。
本当に全然わかっていない。だから、同じようなことを繰り返すし
これからも繰り返すと思う。

私たち、同じ職場にいるんだよね。
それで、私にわからないと思ったの?それとも、私が陸にまるっきり
関心がないとでも思ったの?」

「いつも平然としているから、、、ましろは俺のことを信じているって、、、」

「おめでたい頭ね。。。

女の人に囲まれてにやけきっている亭主が、すれ違う妻に手を振って、、
追いかけるわけでもなく、手を振るだけで、、、

私にめくじら立て、あの人たちを追っ払って欲しかったの?
違うでしょ、、、
陸は、女の人に囲まれて、、、喜んでいたのよ。
そこを運悪く私に見つかって、仕方なしに手を振ったのよね。

それとも、早くあっちいけのサイン?」

陸は息を呑んで黙り込んだ。。。
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