こんなにも愛しているのに〜私はましろ
模試が始まって集中しているうちに
そういう光景を見たことなど
自分の中から通り過ぎて行った。

終わった頃は
模試の緊張から解放されて
早く
家に帰りたい、、、
それしかなかった。

手早く帰り支度をして
受付に寄って入館許可証のパスを返還し、
外へ出たら、、、
いた。

さっきの
グループが。

「あまり見ない顔ね。」

なんで?!
話しかけないでと願ったのに、女の子の一人が私の行手を塞ぐようにして
目の前に立った。

「今日の模試だけ、、、こちらに来たので、、、」

できる限り
きちんと答えた。

「ヘェ〜そうなんだ。
その制服、二中だよね。
ここまでちょっとあったでしょ?」

えっと
この会話は何のためにされている?

「駅から遠かったでしょ?」

「こちらの塾から教えてもらった道を来ました。」

「その道は遠いのよ。
そこの坂を上がって、一番上を左、
最初の曲がり角を右に行くと近道よ。」

「。。。。。」

「そこの道、そこの道。。」

なぜかわからないが、駅までの近道と言われる坂の下に
他の女の子3人から押しやられ、
そこでそのままグッと坂道に向かって身体を押された。

「せっかく親切に教えてあげてるのだから、一番上から左、右よ!」

なぜだか
笑いながら女の子たちはそう言った。
私は、行手を塞ぐように立っている女の子たちの横を
すり抜けることなどできずに、
そのまま
坂道を登った。

後ろの方で、
女の子たちの笑い声が聞こえた。
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