こんなにも愛しているのに〜私はましろ
一刻も早くその場所を立ち去りたくて
必死で歩いた。

もしかして
わざとしんどい道を教えた?急な坂道に息が上がってきた。

とりあえず
坂を登って左に曲がったところでナビを見ようと
思った。

ナビは確かに現在地から、
右に曲がって歩いて行くと駅に着くルートを示していた。

ただし
言われた通りに
右に曲がるとネオンが怪しく光る一体だった。

ラブホテル街だ。

街灯が一気にトーンダウンして
カップルが入るところもあれば
出てくるところもあって、、、

これか。
彼女たちの目的はこれだったんだ。

ともかく
その怪しげな雰囲気から一刻も早く逃れたくて
私の足取りは自然と速くなっていた。
そんな私はふと、足を止めた。。。

悪夢を見た。

父が若い女の人と、そのホテルの一つのエントランスの前にいたのだ。
腕を組んで
もう血が頭に上って
今から入るのか
今出てきたのかも
そんなのは関係ない。

その姿を父と認めた瞬間、

「何してんのっ!!」

私は二人に向かって叫んだ。

「。。。。。」

凍りついたようにその場に立っている二人。

「なんとか言いなさいよっ!!」

それからは
修羅場なのだろう。
娘にそんな姿を見られたのだから。

女の人を逃がそうとする父に私は、女の人を掴んで
離さなかった。

絶対に許すもんか!

こんな汚いことをする父を許すもんか!

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