こんなにも愛しているのに〜私はましろ
あの衝撃的な出来事以来
父と母との間にどうのような話がなされたか
知らない。

母は私を守る。
私のことを一番に考えると
言ってくれた。

私はもう父を父と呼べなかったし
父と一緒に暮らすなど
到底、出来ない相談だった。

できればこの体内から
父につながっている血を搾り取りたいくらいだった。

日々
憔悴していく母を見ることは
とても辛かった。
まるで
あの日の母のように
このまま壊れて行くのではないかと思って。

私が
生まれてくる子を呪ったばかりに、、、
今回は
私がもう一つの父の姿を見たばかりに
それを
自分の感情のまま母に訴えたがために。

また
私が壊して行くのではないかと
恐ろしかった。

私は
父と顔を合わせたくないので
家を出て、
母の親友理恵おばさんの家にお世話になった。

たくさんの厄介ごとを抱えて居候させてもらうので
理恵おばさんが苦手な家事を率先して
させてもらった。

「ごめんね、ましろ。
あんたも受験で忙しいのに、家のことをしてもらっちゃって。」

いつもと変わらない理恵おばさんだった。

「いつも理恵おばさんが言っているように
働かざるもの食うべからず。
自分の身の回りと、家事の手伝いぐらいは任せといて。
ごはんは、お母さんが作ってくれるし。」

そうなのだ。
母は仕事帰りにこちらに寄って、夕飯を作って
私たちと一緒に、私が塾の時は理恵おばさんと二人を食事をして
マンションに帰っていく。

お父さんは?

母には聞けなかったが、
理恵おばさんが家には帰ってきているらしいけど
自分のことは自分でして、と母は一切父のお世話はせず、
家庭内別居状態らしい。
と教えてくれた。

そして
山ほど話し合っているとも。

母は私のためにも自分のためにも離婚をしたい。
父はこれから生まれ変わった気で、やり直したいと。
一生謝罪の日々でも、離婚はしたくないと
言っているらしかった。

生まれ変わった気で、、、

初めからあんなことをしなければ
生まれ変わる必要なんてなかったのに。
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