こんなにも愛しているのに〜私はましろ
私はそんなどうしようもない泥沼に
陥っていた。
でも
それが理由で、高校受験を失敗させたくなかった。

西澤の祖母に
『ほら、ご覧なさい』
と言われたくもなかった。

それは私にも母にも辛いことに違いなかったから。

理恵おばさんも
ここからは夫婦の問題だから、と
私の気持ちを全部聞き出した上でそう言った。

「ましろにとっては、お父さんとお母さんだけど
あの二人は夫と妻でもあるの。

あの馬鹿な西澤くんの一番の罪は、
可愛い娘であるはずのあんたに、男の醜い姿を見せたこと。
それが、妻である茉里に対しての酷い仕打ち。
母としての茉里は、娘にそんな姿を見せた夫に
夫としても父親としても許せないと言っている。

ただね
あの二人は妻と夫でもあって、、、
男と女でもあるし、、、どうなんだろうね。
そこのところは、まだ私にもわからない。」

私は理恵おばさんの言うことが、わかったようなわからないような。
お父さんとお母さんだけど
男と女なんだ。

母は父のことが好きだ。
こんなことがあったけど
絶対に嫌いになれない何かがある。

母を見ていて
そう思える自分が、、、、、いやだ。

私が父のあんな姿を見つけても
母に言わなければよかった?
そうしたら
父と母は夫婦でいられた?

私はそういう何かが絡まって解けない鬱屈した日々の中で
自分が気持ち的に追い込まれて、いっぱいにならないように
一層、勉強に打ち込んだ。

『今度の転校生、勉強しかしてないね。』

そう言われているのはわかった。
でも
これしかないの。
今の私にできることは。

< 18 / 117 >

この作品をシェア

pagetop