こんなにも愛しているのに〜私はましろ
「ちょっとぉ、あんたさぁ、あん時の子だよね。」

そのうちの一人が絡んできた。
顔を見たら、あの時の私にいらぬ道を教えた彼女だ。
香水の匂いがきつい。

「あん時の子だよね。
その目その目、、、私たちを見下しているその目。」

言いがかりだと思うけど、こんなところで捕まっては面倒臭い。
私は腕を掴んでいる彼女の腕を、外した。

「人違いだと思います。」

そう言ってその場を立ち去ろうとした。

「間違えるもんですか!」

私が刺激したのか、大きな声をあげて、また私の腕を掴んだ。
今度は他の女子も、私を取り囲むようにして、私が身動きが取れないように
もう片方の腕を掴み、肩を掴んだ。

どうしてあれくらいのことで、こんなにも激昂するのか訳がわからない。

「何気取っちゃって、私たちから話しかけられるのがそんなにいや?
自分はあなたたちとは違うのよって言っている、その偉そうな態度が目障りなのよ!」

一人を盾にして、外から見えないようにして、私の髪の毛の先を掴んで引っ張る、、、
これが不良と言われる人たちなのかなぁと、妙に落ち着いて思った。

「何してんだよ!」

私にまとわりついていた女子たちを引き剥がしてくれたのは
西崎くんだった。

いつもは寡黙で、だけどどこか柔らかい雰囲気を持つ
彼の顔が、今、怒りで引き攣っていた。

「にっしー、、、」

いきなり彼女たちの態度が変わった。

「よその学校まで来て、何をしているんだよ!」

「ちょっと久しぶりだから、挨拶をしていたのよ。
ねぇ。。。」

妙にベタベタとした態度で
私にまとわりつきながら、あの女子が言う。
そんなの
嘘ってわかるのに。

「よその学校の門のところで、そんなことをしていたら
脅しとか、ゆすりの類にしか見られないぞ。」

「ひっど〜い、ニッシー。
ただ、久しぶりねぇって挨拶をしていただけなのに。」

私の後ろの女子が、肩を強く握ってきた。
何が言いたいのか、いや、何をしたいのか。
この人たちの考えがわからない。

「この子と仲良く話しているから、テッシーを呼んできて。
呼んでこないんだったら、いつまでもこの子と話さなきゃいけないよ。」

狡そうな顔をして言う。

要するにテッシー、手塚くんを呼び寄せるいい囮に
私はなっているようだ。
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