こんなにも愛しているのに〜私はましろ
西崎くんと手塚くん 2
翌日学校へ行くと
クラスがざわついていた。
いつも賑やかな手塚くんや無口だけど人気者の西崎くん
それを取り巻くクラスメートたち、、、
の塊がない。
まず
手塚くんがいない。
西崎くんは昨日と同じように表情筋を無くした顔をして
席に座っているが、心なしか左頬が少し腫れ、口元に傷が見える。
それを遠巻きに見るクラスメートたち。
平常ではない雰囲気が漂っていた。
「西澤さん、今日のHR、西崎くんがあまり話せないと思うから
君が進行してね。」
ここは平常運行の国松先生から言われた。
解答用紙が返され
夏休み前の生徒面談や夏休みの補習のことなど
もう
夏休みがすぐそこという解放感に少しずつみんな
浮かれて来ていた。
それから
手塚くんは終業式まで登校することなく、
西崎くんは相変わらずのまま、
私たちは1学期間のクラス委員の仕事を終えた。
終業式の日
クラス日誌を書き終えて、これは西崎くんが書いてくれた、
戸締まりをして教室を出ようとしたところで
「西澤さん、ちょっとだけ話してもいい?」
西崎くんが真面目な顔で私を呼び止めた。
「窓を閉め切っちゃって暑いと思うけど、長くはならないから。」
忙しいからまたね、などと言って断れない何かが西崎くんの顔に
見てとれた。
「何だろう?」
少しと言っただけあって、彼も椅子に座ることなく立ったまま
話し出した。
「この間は、本当にごめん。
何の関係もないことに巻き込んでしまって。」
「そのことだったら謝ってもらったからもういい。」
「あの模試の日のことも、ごめん。
達がうっかり西澤さんのことを、可愛いとかドストライクとか
いつもの調子で軽く言ったものだから、あの人たちの恨みをかってしまって。」
「あの人たち、同じ学年じゃなかったのね。
てっきり一緒かと、、、」
「違う。
あの塾の高校部の塾生で、俺たちより2年上。
達がナンパされて、それに乗って俺も何回か一緒に付き合って
もちろん、受験を前にした中坊だから、深い付き合いなんて
なかったんだけど、それから、いろいろと付き纏われて
鬱陶しかった。」
「。。。。。」
「俺は、もう面倒で一切関わり合わないようにしたんだけど
達は時々は一緒に遊んだりしていたみたいで、、、
高校合格が決まって、これを最後にしようって言って、
会ったみたい。」
「何だか、中学生が言うような台詞じゃないみたい。」
私は思った言葉をそのまま口にした。
「相手が俺たちが太刀打ちできるような相手じゃなかった。
最後に達が会った時、ちゃんと罠が仕掛けてあって、
そこにまんまと達が嵌って、結果、目も当てられらない写真を
撮られて、脅されたんだ。」
西崎くんは目も当てられないと言ったけど、私にははっきりと言えない
くらいの写真なのだろう。
「達と俺と付き合わないなら、あとはお金目当て。
俺たちお金には不自由してないって思われていたみたいで。
小遣いは困らないようにもらっていたけど、お金を無尽蔵に持っているわけでもなく、
無尽蔵に出てくるわけでもない。
けど、奴らはこの写真を拡散されたくなかったら、100万持って
来いって。。。」
「100万、、、も。」
「この写真と、弄ばれた慰謝料だと、、、
達がそんな金はないって言ったら、家からくすねてこいって。
達の家は、幾つも薬局を経営している金持ちだけど、父親がいなくって
ワンマンな爺様に支配されているような家で、母親はそんな爺様の顔色を
伺って暮らしているような人だから、もちろん、達の自由になる金なんか
高が知れている。
あの爺様に、このことがバレたら、達は半殺しの目に遭う。」
半殺しの目にあった方が良かったんじゃないかと
ちょっと、私は思った。
「真っ青になった達が俺に相談をしてきて、もちろん俺もそんな大金は
持ていないし、二人合わせたって100万には足りない。
警察に言おうって言ったけど、あの爺様のことだ、このことで母親がどんなに
責められるかを考えたら、表沙汰にもできないって。」
「。。。。。」
「それで、俺の兄貴に頼んで金を貸してもらった。
理由は、ゲームを作りたいからそのための設備投資に貸してくれって、、、
兄貴はちょっと変わっていて、親に頼めない金のようだから、貸してやるって。」
お兄さんはお金持ち?
「兄貴は親父と喧嘩して、家を出てる。自分が独立するためにって
早くから投資をしていて、俺たちに貸してくれるお金はあったんだ。
そこしか、もう頼るところはなくって、、、」
「金を持って。二人してあいつらのところへ行って、画像を全て削除させて、今後一切付き纏わないって
約束させて、誓約書も書いてサインもさせて、お金を払って、これで終わったって、、、
志望校には合格したし、これからは高校生らしく過ごそうって。
達も悩みの種がなくなって、浮かれていた。」
高校で会った時は、全てが終わったと思っていた手塚くんだったのね。
「俺も達も、あいつらの連絡先は全て削除していたから、連絡がつかなくって
あの日学校に来たらしい。
西崎さんがまた絡まれたのは、想定外で、本当に申し訳なかった。」
クラスがざわついていた。
いつも賑やかな手塚くんや無口だけど人気者の西崎くん
それを取り巻くクラスメートたち、、、
の塊がない。
まず
手塚くんがいない。
西崎くんは昨日と同じように表情筋を無くした顔をして
席に座っているが、心なしか左頬が少し腫れ、口元に傷が見える。
それを遠巻きに見るクラスメートたち。
平常ではない雰囲気が漂っていた。
「西澤さん、今日のHR、西崎くんがあまり話せないと思うから
君が進行してね。」
ここは平常運行の国松先生から言われた。
解答用紙が返され
夏休み前の生徒面談や夏休みの補習のことなど
もう
夏休みがすぐそこという解放感に少しずつみんな
浮かれて来ていた。
それから
手塚くんは終業式まで登校することなく、
西崎くんは相変わらずのまま、
私たちは1学期間のクラス委員の仕事を終えた。
終業式の日
クラス日誌を書き終えて、これは西崎くんが書いてくれた、
戸締まりをして教室を出ようとしたところで
「西澤さん、ちょっとだけ話してもいい?」
西崎くんが真面目な顔で私を呼び止めた。
「窓を閉め切っちゃって暑いと思うけど、長くはならないから。」
忙しいからまたね、などと言って断れない何かが西崎くんの顔に
見てとれた。
「何だろう?」
少しと言っただけあって、彼も椅子に座ることなく立ったまま
話し出した。
「この間は、本当にごめん。
何の関係もないことに巻き込んでしまって。」
「そのことだったら謝ってもらったからもういい。」
「あの模試の日のことも、ごめん。
達がうっかり西澤さんのことを、可愛いとかドストライクとか
いつもの調子で軽く言ったものだから、あの人たちの恨みをかってしまって。」
「あの人たち、同じ学年じゃなかったのね。
てっきり一緒かと、、、」
「違う。
あの塾の高校部の塾生で、俺たちより2年上。
達がナンパされて、それに乗って俺も何回か一緒に付き合って
もちろん、受験を前にした中坊だから、深い付き合いなんて
なかったんだけど、それから、いろいろと付き纏われて
鬱陶しかった。」
「。。。。。」
「俺は、もう面倒で一切関わり合わないようにしたんだけど
達は時々は一緒に遊んだりしていたみたいで、、、
高校合格が決まって、これを最後にしようって言って、
会ったみたい。」
「何だか、中学生が言うような台詞じゃないみたい。」
私は思った言葉をそのまま口にした。
「相手が俺たちが太刀打ちできるような相手じゃなかった。
最後に達が会った時、ちゃんと罠が仕掛けてあって、
そこにまんまと達が嵌って、結果、目も当てられらない写真を
撮られて、脅されたんだ。」
西崎くんは目も当てられないと言ったけど、私にははっきりと言えない
くらいの写真なのだろう。
「達と俺と付き合わないなら、あとはお金目当て。
俺たちお金には不自由してないって思われていたみたいで。
小遣いは困らないようにもらっていたけど、お金を無尽蔵に持っているわけでもなく、
無尽蔵に出てくるわけでもない。
けど、奴らはこの写真を拡散されたくなかったら、100万持って
来いって。。。」
「100万、、、も。」
「この写真と、弄ばれた慰謝料だと、、、
達がそんな金はないって言ったら、家からくすねてこいって。
達の家は、幾つも薬局を経営している金持ちだけど、父親がいなくって
ワンマンな爺様に支配されているような家で、母親はそんな爺様の顔色を
伺って暮らしているような人だから、もちろん、達の自由になる金なんか
高が知れている。
あの爺様に、このことがバレたら、達は半殺しの目に遭う。」
半殺しの目にあった方が良かったんじゃないかと
ちょっと、私は思った。
「真っ青になった達が俺に相談をしてきて、もちろん俺もそんな大金は
持ていないし、二人合わせたって100万には足りない。
警察に言おうって言ったけど、あの爺様のことだ、このことで母親がどんなに
責められるかを考えたら、表沙汰にもできないって。」
「。。。。。」
「それで、俺の兄貴に頼んで金を貸してもらった。
理由は、ゲームを作りたいからそのための設備投資に貸してくれって、、、
兄貴はちょっと変わっていて、親に頼めない金のようだから、貸してやるって。」
お兄さんはお金持ち?
「兄貴は親父と喧嘩して、家を出てる。自分が独立するためにって
早くから投資をしていて、俺たちに貸してくれるお金はあったんだ。
そこしか、もう頼るところはなくって、、、」
「金を持って。二人してあいつらのところへ行って、画像を全て削除させて、今後一切付き纏わないって
約束させて、誓約書も書いてサインもさせて、お金を払って、これで終わったって、、、
志望校には合格したし、これからは高校生らしく過ごそうって。
達も悩みの種がなくなって、浮かれていた。」
高校で会った時は、全てが終わったと思っていた手塚くんだったのね。
「俺も達も、あいつらの連絡先は全て削除していたから、連絡がつかなくって
あの日学校に来たらしい。
西崎さんがまた絡まれたのは、想定外で、本当に申し訳なかった。」