こんなにも愛しているのに〜私はましろ
一気に感情を爆発させた私を、
腫物に触るように
恐る恐るという感じで
間合いを攻めてくる母と理恵おばさんだったが
私は
そんな二人をスルーして、
表面上穏やかなふりをして
日々を過ごした。

学校では
あんなに深刻そうに私に話していた手塚くんだけど
相変わらずチャラそうに、
周りの友人たちと過ごしていた。

きっと
ああいうふうに自分を装わないと、彼はやっていけないのかもしれない。
だって
少しも彼の目は笑っていないもの。

西崎くんは、、、
しばらく学校には来ていなかった。
自主謹慎らしい。

そのまま
夏休みに入って
学校の補習にも西崎くんが来ることはなかった。
学校をやめるのだろうか。

家では母が
相変わらず腫れ物に触るように私を扱っていた。
何か言いたそうだが
いつも言葉を飲み込んで
当たり障りのないことしか話さない。

朝ご飯の席で
私は思っていることを言った。

「お母さん、、、
私に気兼ねしないで。

お父さんとちゃんとメールして。
返事がないと
心配して、お父さんシンガポールから緊急帰国するかもよ。
連絡を取り合ったら、私に悪いなんて思わないで。」

落ち着いた私の言い方に幾分の戸惑いを見せながら
母が返事をした。
目の前の目玉焼きを見つめ、軽く突っつきながら。。。

「そうね、、、
あれから一週間くらい経つ、、、?
返事をしなかったら、どうした、何かあった?って
メールが来た。」

父の焦った様子が目に見えるようだ。

「どうしようかって思っている。
結論を出せなくって、冷却期間なんて言いながら
決定的なことを先送りにして。。。」

母はポツポツと話し出した。
きっと
夜も眠られない日が続いているのだろう
目の下の隈がそれを物語っている。

「どうしたいのか、よくわからないでいるの。
ましろにどう話せばいいのか。

ましろから家族なんていらないって、、、そこまで言わせる
私たち親はどうしたらいいのか。」

「。。。。。」

「もうしばらく考えさせてくれる?」

「。。。。。」

「ちゃんと、ましろに話すから。
お母さんの思いを少し、整理させて。」

< 51 / 117 >

この作品をシェア

pagetop