こんなにも愛しているのに〜私はましろ
それから一週間くらいした頃だろうか。
私はまた母に何とはなしに尋ねてみた。

「お母さん
お父さんとはメールや電話ばっかり?」

「連絡を取るとき?」

「お母さんは用事がないとお父さんに自分からは
連絡しないみたいだけど
お父さんはほぼ毎日メールや、電話をしてくるでしょ?」

「何もないのに電話はしてこないわね。」

「今はパソコンやスマホで顔を見ながら話せる時代よ。
お父さんに、顔を見せてあげたら?」

「ええ〜、今までそんなことをしてこなかったら、、、
今更?」

母はめんどくさそうに言っていたが。

「お父さんがシンガポールに行って、1年は経ったけど
その間一度も会っていないでしょ。

電話も数回だし、
ほとんどが、お父さんからの一歩通行みたいなメールで。
お父さん、心配していると思うのよ。」

別に父の肩を持つわけではなく、安易に想像がつく父の気持ちを言ってみた。

「ましろはお父さんのこと、平気なの。」

母は、先日の私の話からは結びつかない私の態度に、どう理解をしてよいか、
わからないようだった。

でも
私が父のあの時の話をすることがわかったのか、母の顔つきが
ちょっと厳しく引き締まった。

「何だか怖くって、
今までちゃんと聞けなかったのよね。
あの時、やっぱりもすごくショックを受けて、
お父さんが本当に
薄汚い、ただのいやらしいおじさんに
見えたの。

今でも、思い出すとお父さんを
めちゃくちゃに詰りたいほど嫌いだけど、

あの姿が
本当にそうなのかなっても思うの。」

私は思い出すと辛くって、少し泣きそうになっていたが
母に自分のせいで離婚すると思って欲しくないと
繰り返し、言った。
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