こんなにも愛しているのに〜私はましろ
「お母さんも本当に私たち家族にとって、
何が正解か、わからないのよ。」

母も、もちろん悩んでいる。
でも
このいつまでも宙ぶらりんの不安定な生活に、私は段々と耐えられなくなっていた。

「ましろは
あの日、お父さんとあの女の人がいたホテル。。。

どういうホテルか、わかっているのよね。」

「わかっている。
わかっていたから、お父さんが
大嫌いになった。」

「結果から言うと、お父さんとあの人とは、そういう関係はなかったの。

ホテルに一緒に入るような
男の人と女の人の関係ね。

一度もそういうことがなかった。
って二人から聞かされたの。
でもね。。。」

「。。。。。」

「二人で食事に行ったりはしていたの。

しかも、
あのお父さんが自分でお店を予約してね。
それも月に2、3回も。

一番許せなかったのは、仕事で一緒に行けないと
お母さんに言いながら、
彼女の誕生日祝いをするために、レストランで食事をし、
プレゼントまで自分で選んであげていたの。

それが
廉の命日の日。

お誕生日が、廉(れん)の命日と同じ日で、
彼女が事前に、そのことをを知って
お父さんに自分か家族かを、選ばせたみたい。。。」

お父さんは彼女を選んだというわけ、、、
それは、家族への裏切りではないか。

「自分といることで素直に喜ぶ彼女を見て、
お父さんが癒されたということ、

一番頼りにして欲しい、私やましろには何も言わずに、
頼りにもされてこなかったっていう
そういう事実が、お母さんには一番辛いこと。

そんな彼女と非日常なことをしながら
お父さんの中では、さほど罪悪感もなかったみたいよ。

それどころか、彼女を助けたい、
とかいう
上司の気持ちだけだった、、、という
言い訳を言っていたわ。」

醜い言い訳。。。
あの日、私がお父さんを見かけなかったあの二人は
ホテルへ入っていたのだろうか。
本当に
裏切って、その関係をいつか明らかになるまで、続けていたのではないだろうか。

「どんなに危ういことをしていたか。

ましろ、本当の事を言うと、
お母さんはそんなお父さんでも、とことん嫌いにはなれない。

けど、やっぱり許せないという思いもあって、
もうこんなことは、たくさん。。。

だから一緒にはいられない、
とも思っているの。」

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