こんなにも愛しているのに〜私はましろ
亡くなった弟への気持ち。
その時の気持ちから、自分が医師になりたいと思ったこと。
その頃から両親の不協和音を、少しずつ幼いながらも気づいていたこと。
両親と私の話。
再構築の話。
母の妊娠の話。
そこから
自分の居場所がなくなったような気持ち、、、
そうだ。
信じられないことだったけど、陸があの時の父の姿を知っているからこそ
私は全てを話すことができたのだ。
「西澤さんは、これから生まれてくる兄弟に、やきもちを焼いているのか?」
「えっ?」
「自分がいるべき場所に取って代わられるって。
父親も母親も、何も知らずに生まれてくる子に夢中になって
一人苦しんでいる自分を置き去りにしてって、、、」
「いい歳をしてやきもちなんか焼かない。」
「でも、自分をちゃんと見ていて欲しかったんだろ?誰よりも。
なのに、自分達だけ再構築して、妊娠もして、
置き去りにされた気分なんだろ?」
「割り切れない気持ち。。。
再構築を決めたのはいいけど、私をほっといてって言ったのは私だけど、、、、」
「本当は、自分も一緒に再構築して行きたかったんだろ?
家族としてやり直したかったんだろ?」
「。。。。。」
偉そうなことを両親に言いながら、私は陸が言うように一緒に家族として
やり直したかったのかもしれない。
ただ
それを阻むのはやはり、あの時の父の姿だった。
「西澤さんの親父さんは、娘からのおめでとうを待っていると思うよ。
父親として情けないところしか見せられなくって、自信をなくしていると思う。
俺も人のことは言えないけど、人を傷つけるつもりなんかこれぽっちも
なかったのに、結局は人を傷つけて自分への信頼を失くす、、、ものすごく
辛いよな。
俺、あの時西澤さんからどう思われるかなんか、考えなかったもの。
後で、ものすごく軽蔑をされた眼差しで見られて、本当に時間を戻せるなら
戻したかった。
一旦
なくした信頼は中々戻るもんじゃない。
そんな中でも、お父さんはお母さんからやり直そうと言ってもらえて、
天にも登る気持ちだったと思うよ。
ただ、娘からの信頼を取り戻せないことは、本当に辛いと思うし、
自業自得だと自分自身を納得させているのじゃないかな。」
「同病相憐む、、、?」
私の遠慮のない物言いに、陸は笑った。
「そうだな、、、そうだ、、、」
陸が私に言ったことは、自分でも思っていたことだ。
母の妊娠に、一人疎外感を抱いていたのだ。
陸と話しながら、私は少しずつ自分に落ち着きを取り戻していった。
陸はアイスが溶けてしまった、と言いながら台所の流しに持っていって
’お粥を作ってやるよ。’
とちょっと恩着せがましく言った。
温めるだけのレトルトなのに。
その日
陸と私の距離は少し縮まった。
その時の気持ちから、自分が医師になりたいと思ったこと。
その頃から両親の不協和音を、少しずつ幼いながらも気づいていたこと。
両親と私の話。
再構築の話。
母の妊娠の話。
そこから
自分の居場所がなくなったような気持ち、、、
そうだ。
信じられないことだったけど、陸があの時の父の姿を知っているからこそ
私は全てを話すことができたのだ。
「西澤さんは、これから生まれてくる兄弟に、やきもちを焼いているのか?」
「えっ?」
「自分がいるべき場所に取って代わられるって。
父親も母親も、何も知らずに生まれてくる子に夢中になって
一人苦しんでいる自分を置き去りにしてって、、、」
「いい歳をしてやきもちなんか焼かない。」
「でも、自分をちゃんと見ていて欲しかったんだろ?誰よりも。
なのに、自分達だけ再構築して、妊娠もして、
置き去りにされた気分なんだろ?」
「割り切れない気持ち。。。
再構築を決めたのはいいけど、私をほっといてって言ったのは私だけど、、、、」
「本当は、自分も一緒に再構築して行きたかったんだろ?
家族としてやり直したかったんだろ?」
「。。。。。」
偉そうなことを両親に言いながら、私は陸が言うように一緒に家族として
やり直したかったのかもしれない。
ただ
それを阻むのはやはり、あの時の父の姿だった。
「西澤さんの親父さんは、娘からのおめでとうを待っていると思うよ。
父親として情けないところしか見せられなくって、自信をなくしていると思う。
俺も人のことは言えないけど、人を傷つけるつもりなんかこれぽっちも
なかったのに、結局は人を傷つけて自分への信頼を失くす、、、ものすごく
辛いよな。
俺、あの時西澤さんからどう思われるかなんか、考えなかったもの。
後で、ものすごく軽蔑をされた眼差しで見られて、本当に時間を戻せるなら
戻したかった。
一旦
なくした信頼は中々戻るもんじゃない。
そんな中でも、お父さんはお母さんからやり直そうと言ってもらえて、
天にも登る気持ちだったと思うよ。
ただ、娘からの信頼を取り戻せないことは、本当に辛いと思うし、
自業自得だと自分自身を納得させているのじゃないかな。」
「同病相憐む、、、?」
私の遠慮のない物言いに、陸は笑った。
「そうだな、、、そうだ、、、」
陸が私に言ったことは、自分でも思っていたことだ。
母の妊娠に、一人疎外感を抱いていたのだ。
陸と話しながら、私は少しずつ自分に落ち着きを取り戻していった。
陸はアイスが溶けてしまった、と言いながら台所の流しに持っていって
’お粥を作ってやるよ。’
とちょっと恩着せがましく言った。
温めるだけのレトルトなのに。
その日
陸と私の距離は少し縮まった。