こんなにも愛しているのに〜私はましろ

陸都と一歩前へ

あれは
両親とも酷い風邪で、同時期にダウンした時だった。

私が面倒を見なくてはいけなくなった。
一人で双子のお世話は本当に大変だった。
一人が泣けば、もう一人も泣くし、始まっていた離乳食も
二人いっぺんに面倒を見なければ、片方が不貞腐れて
ごはんをぶちまける。

お風呂に入れたら、本当に浸かって上がるしかできなくって
朝、託児所に預けたら、自分の身の回りはできずにそのまま学校へ。
ひたすら体力と忍耐力との戦いで、相当険しい顔をしていたのだと思う。

「西澤さん、どうした?全体的にやさぐれ感がものすごく漂っているけど。」

講義室で、隣に座った陸から声をかけられた。
私は、両親が風邪でダウンして、一歳の双子のお世話をしていて
とてもじゃないが大変だと、彼に愚痴った。

「俺、手伝いに行こうか?双子ちゃんが怯えなければいいけど。」

「もうね、、、カオスだけど。食事もお風呂もおむつも、、、
寝ていると可愛いけど、起きていると、ちょっとした野獣だから。」

「へぇ、、、でも、西澤さんのボロボロの姿を見たら、
想像できる。」

「そんなにボロボロ?」

「珍しくボロボロ、、、」

そんな会話をしながら、結局陸はその日、双子の保育園のお迎えから
手伝ってくれることになった。
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