冷徹ホテル王との政略結婚は溺愛のはじまりでした
ずっと椿さんからの連絡はないものの、気分が沈んでもお腹は空く自分に半ば呆れながら、社割で買ったランコントルカフェのカヌレを食べていたそのときだ。
部屋のインターホンが鳴り、驚いて部屋を出る。カメラに映ったのは、専用キーで集合玄関を自由に出入りできる許可を得たレジデンスの指定業者だった。
「久我さま、お荷物をお届けに参りました」
荷物は二つあり、ひとつはクール便の白い箱。もうひとつは、そこまで重くはないが、膝の高さほどまである、とても大きな段ボール箱だ。
伝票の送り主を見て、はっとする。
椿さんだ。彼の荷物が届いたようだが、宛先は私になっている。どういうことだろう。
戸惑う中、リビングダイニングスペースまで運んで、箱を開いた。
「これ、全部お菓子……?」
大きな箱の中に入っていたのは、海外で有名なパティスリーのスイーツばかりだった。焼き菓子やチョコレートが、これでもかと入っている。
そして、クール便の白い箱を開けた瞬間、予想外の贈り物に胸が鳴った。