私をみつけて離さないで
「岩崎の御曹司と別れろって話なんや。簡単やろ」
「そんな……!」

なんでこんな人たちにそんなこといわれないといけないの!

「真さんが事故ったっていうのは!」
「うそうそ」

なんだとー! そんな簡単な罠にはまるとは! 今時小学生のほうがしっかりしてるじゃん!

「別れろっていうために、なんでわざわざこんなこと!」
「そらぁあんたを傷モンにしてくれっちゅう依頼やったさかいな。そないな女、岩崎財閥がカノジョや嫁だにするわけあらへんなぁって話。もちろんその様子は写真だ動画だに収めて、岩崎財閥に送りつけるし」
「そんなことで、別れたりしないもん!」

真さんはそんなことで私を捨てたりしない、なんかそんな自信があった。

「まあ、あんたらがよおしてもやん。周りが、あの子乱暴されたらしいでとか噂するんは、財閥は耐えられるの?」
「い、いいもんっ!」

本当にはわからない、あの優しそうなおじいさま、おばあさまも、さすがに結婚はもちろん、交際も諦めてね、というかもしれない。

「あーじゃあさ、他に好きな男ができたパターンにしよか。な? なぁに、丸一日わしらといちゃこらしとったら、そないな気持ちになるさかい」
「好きなんは、俺らちゃうくて、エッチのことだけどねえ!」

ひとりがいうと三人で大きな声で笑いだす、左側の男は顔を近づけて私の顔を舐めるような仕草までした。

「いや! やめて!」

ナップザックを押し付けて抵抗する、すると右側の男がその手を掴み万歳の形に上げて固定した。

「いや!」
「コート、お邪魔どすぅ」

ダウンコートのファスナーを、左の男がゆっくりと下ろし始める。

「え……嫌、やめて!」

暴れるけれど、腕はこれっぽっちも動かなかった、男の人の力は強い。体はシートベルトで固定されてしまっている、唯一動く足をばたつかせても全く意味がなかった。ファスナーは全開にされ、ひざ丈のコートの前を遠慮なく開かれた。

「や……っ」
「おお、顔はともかく、胸は大きいんちゃう?」

左の男が私の胸元に顔を近づけていう、うるさい、顔のことはいうな!

「ふーん、どれどれ?」

右の男から手が解放された、喜ぶ間もない、右の乳房は右の男に、左の乳房は左の男に乱暴につかまれた。

「いや……っ!」

男たちの手を払おうとするけれど、逆に思い切り乳房を握られ苦鳴が漏れる。

「感じてもうた?」

痛みで返事に戸惑うと、男たちはゲラゲラと笑う、自分の無力さを思い知らされる。

「この乳で御曹司を口説いたか!」

そんなことないし、そこまで大きくないと思うよ!
< 29 / 38 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop