佐藤さん家のふたりとわたしと。
夕飯を誘った芽衣と一緒に近所のスーパーまで買い出しへ向かった。
俺よりスーパーへ行くことに慣れてる芽衣はどこに何があるかなんとなくわかってるっぽくてスイスイと先に進んで行く。その後をついてカートを押した。

「あ、にんじんあった」

上にあったにんじんを取った俺にすかさず芽衣がこっちの方がいいよと別のを差し出した。

「葉っぱがついてたとこが小さい方がいいんだよ」

って言いながら。

お前は主婦か!って返したくなった。スーパーだけじゃなく野菜にも詳しくなっていたのか。

じゃがいもも玉ねぎも芽衣が選んでくれたからすぐに買うことが出来て助かった。その後ろでただカートを引いてるだけの俺、全力で押そうせめて。

「あとは?もういいの?」

「うん、ねぇーちゃんに言われたのはこれだけだから」

「そっか、じゃあお会計でいっか!」

エコバックなんて持ち歩いてないからレジ袋代まで加算だ。これもあとで請求しよう。

お会計を済まして、買い物袋に買った商品を詰める。うちは家族が多いから頼まれたものはちょっとでも結果的に大荷物になる。

芽衣が袋が破れちゃうんじゃないかって笑ってた。これはいつもと変わんないって思った…

「…芽衣さ、最近なんかあった?」

「え?どうして?」

「いや…、なんか元気ないなと思って」

「そっかな、気のせいじゃない?」

芽衣が買い物カゴを使用済みのところに戻そうと手に取った。

「…じゃあなんでうち来ないの?」

「行くじゃん、今日!」

笑っていた。それは確かに芽衣だったけど。

「わざと来ないようにしてたのかと思った」

「………。」

そのカゴを持ったまま芽衣が一瞬止まった。

「つまんないじゃん、芽衣来ないと」

「…うん、ありがとう」

今度はちょっとだけぎこちなく笑った。



繊細だから、大事にしなきゃ。
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