佐藤さん家のふたりとわたしと。
「俺持つよ」

買い物袋に手をかける。

「重たいよ、気を付けてね」

「全然大丈夫」 

代わりに芽衣にカートを押してもらって元の場所に戻してもらおうとスーパーの出口に向かった。その途中、いつものあのお店の前を通りかかった。

「今日タピオカいらないの?」

芽衣の行きつけ。未だタピオカがトレンドの芽衣ご用達のこのお店。

「えー…大志は?」

「俺はいらないよ。てか好きでも嫌いでもないし」

「じゃあやめる」

「なんで?買えばいいじゃん!」

芽衣が少しだけ考えて指をさした。

「じゃあ半分こしよ」

「いーけど」

芽衣がタピオカを買ってる間に隣にある自販機でファンタグレープのペットボトルを買った。

スーパーの隅っこにあるベンチに並んで座ってしばしの休憩タイム。

ファンタをゴクゴクっと飲んで、タピオカと交換するように芽衣にもあげた。渡したファンタに芽衣が口をつけようと、手にしたペットボトルを運んでいく。

気になって横目で見ていた。

それは案の定、口に届く前より先にペットボトルからファンタがこぼれた。

「あっ」

いや、なんでだ!どうしてそうなる!

「こぼしちゃった…」

「何してんの」

てゆーか女の子とか女の子じゃないとか関係なく天然でどんくさい。

「持ってくスピードと距離が合わなかった」

…言ってる意味もよくわからない。


でもそーゆうの全部ひっくるめて…ほっとけないんだ。
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