佐藤さん家のふたりとわたしと。
20分ぐらいして、お待たせしましたと運ばれてきた2つのパンケーキ。
ナイフとフォークを使って大きめに切ったパンケーキを思いっきり頬張った。

「おいしいっ!」

「すっげぇふわふわ!何これ飲めるっ」

「おいしいね、しあわせ!」

溶けてなくなるように口の中から消えていく。もぐもぐと自然と笑みがこぼれちゃうぐらいおいしい。

「ねぇひとくちちょーだい!」

「いいよ」

大志に言われて、一口サイズに切ったパンケーキをフォークに刺してそのままあーんっと大志の口元へ持っていく。

「はいっ」

ぱくっと大きな口で、ひとくち。

「さんきゅっ」

目が合った。

大きな瞳とパチっと。

その瞬間ドキッって、大きく胸が高鳴る。

「うまっ」

何このドキドキ…

ド、ドキドキ!?

おかしい…!

ひとくちちょーだいは私たちの定番常識フォーマットなはずなのに、なんで今こんなにドキドキしているの?

「芽衣もいる?」

「う、うん!もらう!」

今こうやって向き合ってパンケーキを食べてるだけなのに、それだけなのに、どうしてこんなに心臓がうるさいんだろう。

何この感覚、初めての感覚だ。

「はいっ」

今度は大志が私に小さく切ったパンケーキをくれた。

フォークに刺さったパンケーキを私の口元まで持ってくる。

同じようにぱくっと、ひとくちで。

「お、いしい!」

なぜだか緊張してうまく飲み込めない。

飲めるとまで表現されたふわふわのパンケーキなのに。


“好きなんでしょ?大志のこと”


あ…!私今初めて意識したんだ!

ずっと好きだと思ってたけど、好きだけど、それ以上考えたことはなかった。

好きだからどうしたいとか、そうゆうの全然考えたことなかった。

好きだなんて言うことも考えたことなかった。

大志と奏志と3人でいることばかり考えて、自分の気持ち隠してきたから…(実際のとこ奏志にバレてたけど)

いざッ、ちゃんとしないとって決めたら急に緊張して…

こんなことでさえドキドキが止まらない。

どーしよ、好きだなんて伝えられる自信全くないよ…。
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