佐藤さん家のふたりとわたしと。
テキトーにご飯を食べた後、大志が遊びに来た。
正直このあと来るんだと思ったら、ご飯を食べる前から胸がいっぱいであまり食べられなかったんだけど。
「これとーちゃんのおみやげ!」
「わぁい、ありがとう!」
たぶん箱に入ってたひとつ、小包装にラッピングされているものを持って来てた。
「どこのかよくわからないとーちゃんが買ってきたバームクーヘン!」
「これたぶん近所のバームクーヘンだよ」
「そーなの?」
くすって笑いながら1つの小さなバームクーヘンを2人で分けて食べた。
フロアマットの敷かれた床にソファーを背もたれにして並んで座ってテレビを見る。
なんとなくかしこまって三角座りをしてみた。
…遊びに来たってわりに、ただテレビを見てるだけ。
でもいつもそうだし、遊びに来たから何かしてるとかでもないし、ただ会話が止まると、どうしても左半分が気になる。
でも視線を向けることもできない。
「春休みどっか行きたいとこあった?」
ふと大志が私の方を見ただけでビクッと体を震わせてしまった。
「えっ、春休み!?あっとー、アスレチックのある公園は?去年も行ったよね!」
「行ったね、奏志と3人でね」
「「………。」」
え、ダメだった?今の会話ダメだった??
普段こんな感じじゃなかったっけ??
「あ!今このドラマハマってるの!」
ちょうど流れたドラマのCM、テレビの方を指さした。
「え、何?」
「先生と生徒のラブストーリーなの!大志見てない?」
「見てない、知らないそれ」
「めちゃおもしろいよ!」
なんて声を弾ませるように言った瞬間、タイミングよく流れたのはドキドキするようなキスシーン。
甘くてキュンとする、ドラマでよくあるやつ。
これ見よがしに見せられているそんなシーン…にちょっと気まずくなった。
タイミング!!!
しまった、余計なこと言っちゃった!なんかそんな雰囲気になっちゃう!
「あの…っ」
何か言わなきゃ!って声を出した時、こてんっと肩に頭を置かれた。
「っ!」
ゆっくり隣を見る。
近い。
すっごい近い…っ。
じーっと私の方を見ていた。
大志の瞳の中には私しか映ってなんじゃないかってぐらい、黒目がちな瞳が私を捕らえてる。
ドッ、ドッ、ドッ…聞こえてしまいそうなぐらいうるさい心臓の音。
それ以上大きくならないでと胸を押さえる。
顔が近付くような気がして、ぎゅっと目をつぶった。
「もう帰るね」
とは裏腹、あっさり離れられた。
「えっ…あ、うん…。ばいばいっ」
間の抜けた私の声に、じゃあっと手を振って帰って行く。
何の余韻も残さず、バタンっとドアが閉じる音が聞こえた。
「………っ」
全身の力が抜けたみたい…
固まってた体からすーっと抜けていく。
いてもたってもいられず勢いよくソファーにダイブした。
ふ、普通ってなんだっけーーーーーー!?
疲れる!ものすごい疲れる!肩凝ってしょーがないんだけどっ!!!
…何だったの、あの空間。
もうしんどい…
正直このあと来るんだと思ったら、ご飯を食べる前から胸がいっぱいであまり食べられなかったんだけど。
「これとーちゃんのおみやげ!」
「わぁい、ありがとう!」
たぶん箱に入ってたひとつ、小包装にラッピングされているものを持って来てた。
「どこのかよくわからないとーちゃんが買ってきたバームクーヘン!」
「これたぶん近所のバームクーヘンだよ」
「そーなの?」
くすって笑いながら1つの小さなバームクーヘンを2人で分けて食べた。
フロアマットの敷かれた床にソファーを背もたれにして並んで座ってテレビを見る。
なんとなくかしこまって三角座りをしてみた。
…遊びに来たってわりに、ただテレビを見てるだけ。
でもいつもそうだし、遊びに来たから何かしてるとかでもないし、ただ会話が止まると、どうしても左半分が気になる。
でも視線を向けることもできない。
「春休みどっか行きたいとこあった?」
ふと大志が私の方を見ただけでビクッと体を震わせてしまった。
「えっ、春休み!?あっとー、アスレチックのある公園は?去年も行ったよね!」
「行ったね、奏志と3人でね」
「「………。」」
え、ダメだった?今の会話ダメだった??
普段こんな感じじゃなかったっけ??
「あ!今このドラマハマってるの!」
ちょうど流れたドラマのCM、テレビの方を指さした。
「え、何?」
「先生と生徒のラブストーリーなの!大志見てない?」
「見てない、知らないそれ」
「めちゃおもしろいよ!」
なんて声を弾ませるように言った瞬間、タイミングよく流れたのはドキドキするようなキスシーン。
甘くてキュンとする、ドラマでよくあるやつ。
これ見よがしに見せられているそんなシーン…にちょっと気まずくなった。
タイミング!!!
しまった、余計なこと言っちゃった!なんかそんな雰囲気になっちゃう!
「あの…っ」
何か言わなきゃ!って声を出した時、こてんっと肩に頭を置かれた。
「っ!」
ゆっくり隣を見る。
近い。
すっごい近い…っ。
じーっと私の方を見ていた。
大志の瞳の中には私しか映ってなんじゃないかってぐらい、黒目がちな瞳が私を捕らえてる。
ドッ、ドッ、ドッ…聞こえてしまいそうなぐらいうるさい心臓の音。
それ以上大きくならないでと胸を押さえる。
顔が近付くような気がして、ぎゅっと目をつぶった。
「もう帰るね」
とは裏腹、あっさり離れられた。
「えっ…あ、うん…。ばいばいっ」
間の抜けた私の声に、じゃあっと手を振って帰って行く。
何の余韻も残さず、バタンっとドアが閉じる音が聞こえた。
「………っ」
全身の力が抜けたみたい…
固まってた体からすーっと抜けていく。
いてもたってもいられず勢いよくソファーにダイブした。
ふ、普通ってなんだっけーーーーーー!?
疲れる!ものすごい疲れる!肩凝ってしょーがないんだけどっ!!!
…何だったの、あの空間。
もうしんどい…