佐藤さん家のふたりとわたしと。
翌日、ホームルーム終わりの教室。
帰ろうかとスクールバックを肩に掛けた。

「俺今日先帰るから」 

それだけ言いに私のところに大志が来た。報告するみたいに、まだ何も言ってないうちから私の前から去っていく。タタタッと、足早に教室から出て行った。

昨日のこと…、やっぱ気にしてるかな。
変だったよね、私の態度。

「はぁ…」

「なんだあいつ…?」

後ろで見ていた奏志も首をかしげ不思議そうに見ていた。

いつも一緒にい過ぎて、1人が非自然な行動を取るとみんなに伝染していく気がする。

「奏志は今日部活だよね?」

「あぁ、今日顧問が風邪引いて休みなんだよな」

「そーなんだ、じゃあ一緒に帰ろ?」

「うん…、いーけど」

奏志と2人で帰ることにした。
帰り道は同じなんだ、1人で帰る必要も別にないし。

「ケンカでもしたか?付き合ってばっかで?」

「してないよ」

不思議そうに奏志が私を見る。

「てか付き合ってるとか恥ずかしいから言わないで!」

「なんでだよ、何が恥ずかしいんだ!」

「恥ずかしいの!なんか!そう言われたら!」

そう言ってる自分にも恥ずかしくなって両手で顔を覆った。慣れないことが多すぎて、全然追いつけてない。

「てゆーか奏志も部活待ってなくていいとか…っ、そんなこと言うし」

「それは言うだろ、何が悲しくてカップルと帰るんだ」

カップルって言葉に無駄に反応して、言葉に詰まる。

「…赤くなんなよ、こっちも恥ずかしくなんだろ」

半ば呆れられた。

「…なんだよ?」

キャパオーバー、私のキャパは思ったよりだいぶ小さかった。

本当は口にするのもいっぱいいっぱいで、声が引きつってるのもわかってたけど、大きく深呼吸をしてゆっくり話した。

「…つ、付き合い方がわかんなくてっ」

また顔が赤くなりそうと両手で頬を押さえながら奏志を見た。

「なんでそっちが赤くなるの!?」

なんでか奏志が頬を染めていた。

「いや、可愛いこと言うなって…っ」

「かわいい!?」

そんな面と向かって、しかも頬染めた奏志にそんなこと言われるとか…っ。

「「………。」」

2人して無言、かぁーっと赤くなったまま。

いや、何コレ。熱い。すっごい熱い。

「わ、わかんないも何もお前は普通にしてりゃいいじゃん!」

「みんな普通って言うけど普通って何!?何したら普通なの!?」

「知らねぇーよ!もう俺に振るな!知らん!」

ヤケになって返された。
ずんずんと先に進む奏志のあとを走って追いかける。
なんのアドバイスももらえないまま家に着いてしまった。
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