佐藤さん家のふたりとわたしと。
夜はそれぞれコテージに戻って…

「ねぇオセロやろ!」

折り畳みの小さなオセロを持った芽衣がこっちのコテージに乗り込んで来た。

朝LINEで言ってた怜くんに買ってもらったオセロマジで持ってきたのか。

とーちゃんはまだ外で正志にーちゃんと写真を撮ってる。自然が多いここからだと空がキレイだなんだって言ってたから、まだ当分は戻って来ないか…じゃあセーフか。

てゆーかよく見たら怜くんもいないし、隣のコテージでも行ってんのかな。

「早く奏志始めるよ!」

「始めるって2人でやるもんだろ、オセロって」

「チーム戦ね!私と優志対大志と奏志!」

「「なんでだよっ」」

久しぶりに声が揃った気がした。無意識で、こう出てしまうのはやっぱり変わらなくて。

「なんで俺がこいつとペアなんだよ!」

「俺だって嫌だよ、奏志となんて!」

「だって私優志がいいもん!」

「「俺も優志がいいよ!!」」

みんな考えることは一緒で、絶対勝つには優志しかいない。自分で言うのは癪だけどオセロは頭脳プレイ、勝つにはこの中で一番頭がいい優志と組むのがベストな方法だ。

「…僕は誰でもいいよ」

「じゃあジャンケンな!!」

って、勢いで言った結果見事に勝った。

これで望み通り優志とペアになった。

オセロも間違いなくイケる。

でも…勝たない方がよかったかな。

それとも勝っといてよかったかな。

芽衣と大志、2人を前にしてするオセロは今までで一番長い時間だった。
< 156 / 176 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop