佐藤さん家のふたりとわたしと。
「今日から一緒に寝れないの寂しい」

朝一番、起きて早々芽衣が瞳をうるうるさせながら俺らに訴えてくる。目にはいっぱいの涙を溜めて、昨日12歳になったとは思えない。

「ねぇ、なんで?なんでダメなの?2人は一緒じゃん?」

食卓に並んだトーストに手を伸ばそうともせず俯いた。

「寂しいよぅ…」

「寂しくねぇーよ、同じ家にいるんだから!お前も一緒だよ!」

奏志が大きめにトーストにかぶりついた。

「そうだよ、何も変わらないよ!」

同じようにトーストにかぶりつく。

その声に芽衣がゆっくり顔を上げた。

俺らが笑えば芽衣も笑う。

いつだってそうだったから。

こんがり焼かれたトーストに芽衣が手を伸ばした。
小さく微笑んで。

「うん…」

奏志と誓った。

あの日、あの夜。

芽衣のとーちゃんとかーちゃんが帰って来るでそばにいようって。

「「家族なんだから」」

2人で約束した。

俺たちの1番大事な約束だ。
< 166 / 176 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop