佐藤さん家のふたりとわたしと。
「「新しいゲーム買ったんだ!」」

2人の部屋へ行くと嬉しそうにゲームのパッケージを見せて来た。某対戦型格闘技ゲームの新作が出たらしい、あのフィールドから落下したら負けの人気作。

「「芽衣もやろうぜ!」」

すでに準備してあったNintendoSwitchのスイッチが入れられる。

「芽衣のコントローラーこれね」

はいっと大志に渡された。

「これ私絶対負けるやつじゃん!」

このシリーズ、何度か2人とやったことある。そのたびにボッコボコにされて、毎回やる気なくすやつ。

「ハンデやるから!」

ポンポンっと奏志が私の肩を叩いた。

「じゃあ私に攻撃するのなしね!」

「それ試合にならないじゃんっ」

大志はそう言ったけど、それぐらいハンデあっても負ける気しかしないんだ。

2人の間に座って、ゲームスタート。

私の使用プレイヤーと言えばイケメンのみの選択肢、カッコいいからって理由でしか撰ばない。強いとか弱いとか技とか操作方法もよくわかんなくてだからいっつも…

「あぁーーーーっ、攻撃するのなしって言ったじゃん!今のどっち!?大志!?奏志!?」

「「俺じゃない、俺じゃない」」

「絶対どっちかでしょ!コンピューターも飛ばされてったもん!」

「「違う、違う」」

最後にはめちゃくちゃにされるのがオチ。

「「あはははははっ!!」」

2人の共鳴した笑い声を聞きながら。

「もうっ」

「痛っ」

ちょっとイラッとして右隣にいた大志殴っちゃった。

「なんで今俺殴られたの!?」

「右手空いてたから」

左手は移動するのにスティック操作中だからね、せめて逃げとかないとやられるから。

「あぁー!奏志ーっ!!今のずるい!」

「ずるくねぇーよ、勝負の道は厳しいんだから!」

何度やっても絶対私を勝たせてはくれないんだから。
ゲームして勝たせてくれるなんて、優しい正志お兄ちゃんぐらいだよ。こないだも風邪ひいた私を車で迎えに来てくれたし。

そんな優しさのカケラのない2人と散々ゲームをして、私が“もうやりなたくない!”って投げ出したところで試合終了。

この後は毎回恒例おやつタイムに入る。
< 17 / 176 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop