佐藤さん家のふたりとわたしと。
夕飯には紘一さんも帰って来た。

家族みんなでご飯を食べる。
うちにはない習慣にいつも戸惑っていた。

「今日さわこおばーちゃんのカレー?めい好き!」

戸惑っていたのも俺だけっぽいが。

「めい、トマトきらいだからたいちゃんにあげる」

「オレもきらい!」

「じゃあそーちゃんにあげる」

「オレもきらい!」

「芽衣、好き嫌いしたら大きくなれないぞ!僕みたいに!」

紘一さんが力こぶしを作って見せる。

「「オレらん中でいちばんちっちゃいからな!」」

「でもゆーしよりはおっきいよ!」

「「あたりまえだっ」」

食卓でも芽衣は楽しそうに喋っていた。まるで中心にいるみたいに、俺とは違って愛想がいい芽衣はみんなから可愛がられていたから。

「大志も奏志もトマト残すんじゃないぞっ」

「「………。」」

紘一さんの声が響く中、もくもくとカレーを食べた。

「怜くんおいしいね」

隣の正志だけは話しかけて来る。

「うん」

こんな時まで気遣ってくるなよ。

食べ終わって食器を流し台いに運ぶ。

「れいおにーちゃん!れいおにーちゃん!」

「なに?」

「トマトたべて」

芽衣が残したトマトを持って来た。ずっと隠してたのか、両手でミニトマトを大事そうに覆ってゆっくり開いて見せてきた。

「食べないとあそんじゃいけないって言うから」

だとしたらこれは俺が食べたらダメだろ。
そう思ったけど、別にトマトくらい、ていうか俺は好きだし、ひとくちで飲み込んだ。

「れいおにーちゃんすごい!れいおにーちゃんだいすき!」

満面の笑みを見せられた。

「「めいはやくー!あそぼー!!」」

双子に呼ばれてすぐ行ってしまったけど、俺もあんな風に笑えたらもう少し素直になれるのかなって思った。

「怜くん、ゲームしよ。カービィのやつあるよ」

正志にも。

「いいや、俺は」

それは無理か。

「なんで!?」
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