佐藤さん家のふたりとわたしと。
「今日怜くんは?」

ごくごくとコーラを飲む大志がふぅっと息を吐いて私に聞いた。めちゃくちゃ飲みっぷりいいなって思いながら答えた。

「わかんない、出かけてるっぽいけど。バイトかなぁ」

「今何のバイトしてんの?」

「文房具屋の発注とカラオケ…カラオケはやめたんだったかな?どうだっけ?ずっと会ってないから今何してるのかもよくわかんないだよね」

「怜くんいつも忙しそうだもんね」

「うん、最後に喋ったのがいつだったかもあやふやだし」

いつだったかな、最後…寝てるお兄ちゃんにいってきますを言って、お兄ちゃんが寝ぼけながらいってらっしゃい…って言ってたっけ?ん-とか、スーとかしか答えてない気がする。
ちゃんと顔を合わせて会話をしたのはいつだったけ?ハッキリと言えないぐらいたぶん前なんだと思う。

もう空っぽになってしまった牛乳の入っていたコップを見つめる。

「ずっとってどれぐらい?」

「うーん、…3週間ぐらい?」

「「3週間!?」」

ずっとお菓子に夢中だった奏志まで驚いたように声を出した。

「え、普通だよ?うちはいつもそんなもん」

家族の多い佐藤さん家からしたらキョーダイと3週間も話さないなんてありえないことだろうけど、これがうちのマスト。これが日向野家の普通だから。
特に変に思うことはないんだけど。

「LINEしても基本返事来ないし、家にいても時間合わなくて私が学校行く時には寝てるし。あ、でも洗濯物は置いてあるから生きてはいるよ!」

「そんなんでいいのかよ…」

頭を掻きながら、奏志がぼそっと呟いた。

いいのか?って聞かれたら、よくは…ないとは思ってる。でもお兄ちゃんも忙いし、もう慣れちゃった。
もっとお兄ちゃんと…なんて言うのもよくないってもうわかる年齢にもなったし。
< 19 / 176 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop