佐藤さん家のふたりとわたしと。
「「ただいまー」」

「おかえりー…ってここ日向野家!佐藤さん家は隣!」

いつもやってるようなやってないような芽衣のノリツッコミを聞いて家に入る。

「クリスマスツリー飾んぞ」

芽衣の横を通り過ぎる奏志がぽんっと肩を叩く。

「うん…」

どことなく浮かない顏をした芽衣が気になった。

「どうかした?」

「ううん、梨々ちゃんはよかったの?」

「おうおうおうおう、よくねぇーよ!めんどくせぇ!」

即コタツ向かった奏志が間髪入れずに答えた。

今日も1日付き合わされた。相変わらず何かしたいわけじゃない笠原梨々はたた街を歩いてみたり、カフェに入ってみたりしたいだけで、それはあれだ客寄せパンダみたいな!注目されたいだけだ!

「めちゃくちゃ腹立つだろ!なぁ!?」

「てゆーかあれお前のせいだからな!お前がサッカー部だから!」

「ばっきゃろー、あれが笠原キャプテンの妹だぞ!どっちもやべぇじゃねーか!」

「「お前が…っ」」

ヒートアップしたところですぅっと芽衣が息を吸った音が聞こえた。

「わーかったからッ!」

両手を腰に当て、仁王立ちして俺たちを見る。ふんっと鼻を鳴らして…、いやっ犬か!

「私だって思うことあるけど、3日間って約束したんでしょ!」

…3日間、残りあと1日。

「なんか食うもんねぇの?腹減った」

コタツに入った奏志がごろんっと寝転がる。

「奏志の食べかけのポテトチップスあるよ、たぶんしけってるけど」

「お前そーゆうのは捨てろよ!コーラの時といい!」

明日は休みだ。
そしてクリスマスイブ。

「あ、お兄ちゃんは相変わらずバイトだってさ」

芽衣がたぶんしけったポテトチップスとこないだ俺があげたチョコレートを持って来てコタツの上に置いた。あとうちのばーちゃんが持って来たであろうみかん。

「怜くんこんな時もバイトなんだ」

「稼ぎ時なんだってさ」

「ふーん、大学生って大変なんだね」

寝転がる奏志を軽くどかしてコタツに入る。芽衣も同じようにコタツに入って来た。

「よしっ、クリスマスは人生ゲームだな!」

がばっと起き上がるやいなやみかんに手を伸ばす奏志こそ相変わらずだと思った。俺もクリスマスは楽しみだけど。 

「えー、モノポリーがいい!」

「私もモノポリーがいい!」

「なんだよ大志の味方かよ!」
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