佐藤さん家のふたりとわたしと。
気分ハツラツ!今日も元気にバイト中!
「買い物できてよかったなぁ♡」
すぐに欲しいものを買いに出掛け、そのまま購入して来た。思ってるものが買えて今日の気分はいつも以上に上々だ。
口笛だって吹いちゃう!吹けないけど!
「てゆーか奏志入りびたりすぎ!肉まん1個で何時間いる気!?」
レジの隣にあるイートインスペースでかれこれ1時間はぼーっとスマホいじってる。万年金欠の奏志にとっての肉まんはかなり重宝されるものらしいけど、バイトしてわかることはそれ超迷惑。
「今日部活ねぇーんだもん」
「じゃあ帰りなよ!」
「帰っても暇だし」
幸い今日はお客さんがいない。レジ付近の商品の整理をしたり、軽く掃除をしたり… 今日は気分がいいし、まぁいっか。そんなこと気にしないでおこう。
「ねぇ大志、そっちもう終わる?」
「もうちょっとー」
お菓子コーナーで商品の補充をしてくれてる、その間にレジ周りを片付けちゃおうとレジスペースに戻った。不要レシートボックスを手に持った時、ウィーンと自動ドアが開いた。
いつものように営業スマイルを向け、開いたドアの先を見た。
「いらっしゃいませー…あ!」
目が合った。
「芽衣棚卸終わったー…あ!!」
きっと大志も。
「…何してんだ?」
鋭い視線のお兄ちゃんと。
やばい、どうしよう…この状況、コンビニの制服を着てしまっている今言い逃れができない。
言うしかない…
意を決して答えた。
少しでも空気が和らがないかなって思いを込めて、笑って答えた。
「バイト…かな?」
引きつった笑いになっちゃったけど。
「バイトは許可しないって前に言わなかった?」
しんっと凍り付くようなお兄ちゃんの声。
目が見れなくておろおろするしか出来ない私に淡々と話し始めた。それが余計に追い詰められてるように感じて、何も言えなくなった。
「そもそも親の許可がないとバイトはできないはず…」
存在を消すかのように大人しくしていた奏志の方をお兄ちゃんがチラッと見た。お兄ちゃんの前には私と同じように焦りの色を見せている大志がいる。
はぁっとお兄ちゃんが息を吐いた。
「…双子、お前ら何か知ってるな?」
「俺は関係ねぇーよ!俺バイトしてねぇもん!客だもん!」
「お前それずるいぞ!共犯だろ!つーかお前だってバイトしたいけど、部活があるからってとーちゃんにダメって言われたんだろ!」
「でもとーちゃん…っ」
「双子うるさいっ!!!」
2人の言い合う声が一気に掻き消された。お兄ちゃんがこんな大声を発することなんてあまりないから。みんなで固まったように動けなくなった。
「わかった、まぁなんとなくわかった」
もう一度大きく息を吐いたお兄ちゃんが、冷然と話し始める。相変わらず私は何も答えられないで俯くしか出来なかった。
「紘一さんがなんて言ったか知らないけど、何か理由がない限りバイトはダメだって言ったよね?それに答えられなかった芽衣に俺は許可は出せないって言ったんだよ」
一切の抑揚もなく、まるで平行線のように話すお兄ちゃん。
わかってる、お兄ちゃんは間違ってない。
「意味、わかるよな?」
「…うん」
最後の声だけちょっと優しくてそれが罪悪感を増した。
「「でも怜くんっ」」
「お前らには聞いてない、芽衣と話をしてるんだよ!」
だから何も言えないの。
「…はぁ、じゃあどうしたらいいか自分で考えて」
私を突き放すようにそれだけ言い残しお兄ちゃんは帰っていった。
こぼれそうになる涙を必死に堪え、今度こそちゃんと笑えるように無理やり口角を上げた。
「…怒られちゃった。2人ともごめんね、2人も怒られちゃったね」
どんどん瞳に熱を帯びていくのがわかったけど、2人にも申し訳なくって笑うしかなかった。
「「………。」」
私が笑ってないことなんかわかってたと思うけど。
「あ、もう終わりだ!そろそろ交代の時間だね!」
「買い物できてよかったなぁ♡」
すぐに欲しいものを買いに出掛け、そのまま購入して来た。思ってるものが買えて今日の気分はいつも以上に上々だ。
口笛だって吹いちゃう!吹けないけど!
「てゆーか奏志入りびたりすぎ!肉まん1個で何時間いる気!?」
レジの隣にあるイートインスペースでかれこれ1時間はぼーっとスマホいじってる。万年金欠の奏志にとっての肉まんはかなり重宝されるものらしいけど、バイトしてわかることはそれ超迷惑。
「今日部活ねぇーんだもん」
「じゃあ帰りなよ!」
「帰っても暇だし」
幸い今日はお客さんがいない。レジ付近の商品の整理をしたり、軽く掃除をしたり… 今日は気分がいいし、まぁいっか。そんなこと気にしないでおこう。
「ねぇ大志、そっちもう終わる?」
「もうちょっとー」
お菓子コーナーで商品の補充をしてくれてる、その間にレジ周りを片付けちゃおうとレジスペースに戻った。不要レシートボックスを手に持った時、ウィーンと自動ドアが開いた。
いつものように営業スマイルを向け、開いたドアの先を見た。
「いらっしゃいませー…あ!」
目が合った。
「芽衣棚卸終わったー…あ!!」
きっと大志も。
「…何してんだ?」
鋭い視線のお兄ちゃんと。
やばい、どうしよう…この状況、コンビニの制服を着てしまっている今言い逃れができない。
言うしかない…
意を決して答えた。
少しでも空気が和らがないかなって思いを込めて、笑って答えた。
「バイト…かな?」
引きつった笑いになっちゃったけど。
「バイトは許可しないって前に言わなかった?」
しんっと凍り付くようなお兄ちゃんの声。
目が見れなくておろおろするしか出来ない私に淡々と話し始めた。それが余計に追い詰められてるように感じて、何も言えなくなった。
「そもそも親の許可がないとバイトはできないはず…」
存在を消すかのように大人しくしていた奏志の方をお兄ちゃんがチラッと見た。お兄ちゃんの前には私と同じように焦りの色を見せている大志がいる。
はぁっとお兄ちゃんが息を吐いた。
「…双子、お前ら何か知ってるな?」
「俺は関係ねぇーよ!俺バイトしてねぇもん!客だもん!」
「お前それずるいぞ!共犯だろ!つーかお前だってバイトしたいけど、部活があるからってとーちゃんにダメって言われたんだろ!」
「でもとーちゃん…っ」
「双子うるさいっ!!!」
2人の言い合う声が一気に掻き消された。お兄ちゃんがこんな大声を発することなんてあまりないから。みんなで固まったように動けなくなった。
「わかった、まぁなんとなくわかった」
もう一度大きく息を吐いたお兄ちゃんが、冷然と話し始める。相変わらず私は何も答えられないで俯くしか出来なかった。
「紘一さんがなんて言ったか知らないけど、何か理由がない限りバイトはダメだって言ったよね?それに答えられなかった芽衣に俺は許可は出せないって言ったんだよ」
一切の抑揚もなく、まるで平行線のように話すお兄ちゃん。
わかってる、お兄ちゃんは間違ってない。
「意味、わかるよな?」
「…うん」
最後の声だけちょっと優しくてそれが罪悪感を増した。
「「でも怜くんっ」」
「お前らには聞いてない、芽衣と話をしてるんだよ!」
だから何も言えないの。
「…はぁ、じゃあどうしたらいいか自分で考えて」
私を突き放すようにそれだけ言い残しお兄ちゃんは帰っていった。
こぼれそうになる涙を必死に堪え、今度こそちゃんと笑えるように無理やり口角を上げた。
「…怒られちゃった。2人ともごめんね、2人も怒られちゃったね」
どんどん瞳に熱を帯びていくのがわかったけど、2人にも申し訳なくって笑うしかなかった。
「「………。」」
私が笑ってないことなんかわかってたと思うけど。
「あ、もう終わりだ!そろそろ交代の時間だね!」