佐藤さん家のふたりとわたしと。
中学入学からずっと俺と結華が付き合っているという噂は絶え間なく流れていた。
でも実際に付き合っていたわけじゃないし、何言われても特に気にならなかったから放っておいた部分もある。
それが今回既成事実となって現実味を帯びたこの情報は瞬く間に広がった。
中学校噂ネットワークは品川から東京までの新幹線の距離より断然早い。
“昨日までは付き合ってるらしいよ”だったのが“付き合ってる”に変わったんだから、これ以上に冷やかす輩が出て来る。
いや、どんだけ暇だ!
俺と結華の話なんざどうでもいいだろ!
「|日向野くんが好きです…!」
と思っていたのに、俺に付き合ってほしいと願い出す女子もいるなんて。なるほど、こんなパターンもあるのか。
同じクラスの佐々木夏乃、黒髪ロングのストレートヘアをいつも2つに束ね、静かで大人しくて、よく読書をしてるイメージがある。
どんな本が好きかって何度か話したことはあるけど…テキトーに話合わせた会話しかない。俺は本は読まないんだ。
そんな佐々木から告白されている、校舎裏で。
「日向野くんは女の子に見向きもしない、絶対誰とも付き合わない硬派な人だと思ってた」
どんなイメージ持たれてんだ俺。
「なのに、あの佐藤さんと付き合い始めるなんて…」
あの佐藤さんってのは引っかかるけど、別に硬派気取ってるわけでもないんだけど。
「私が…日向野くんと付き合いたかった…」
瞳を潤ませ静かに訴えてくる佐々木。
佐々木は俺のことをどう思ってるのか知らない。メガネかけてるだけでステレオタイプな考え持ってるのかもしれないけど、俺は実際勉強は好きだ。成績だってそれなりにいい。
でも女の子だって大好きだ。
「じゃあ俺と付き合う?」
にこりと笑って見せた。
その瞬間、佐々木がドブに転がるネズミを見るような目で俺を見てきた。さっきまでのうるうるさせた瞳は一瞬で消えた。
「ひどい、日向野くん…」
それと同時、俺にクズのレッテル貼られることになった。
なんだよ、せっかく期待に答えてあげようと思ったのに、付き合いたいって言うから叶えてあげようと思ったのに。
それは違うんだな。次はうまくやろ。
でも実際に付き合っていたわけじゃないし、何言われても特に気にならなかったから放っておいた部分もある。
それが今回既成事実となって現実味を帯びたこの情報は瞬く間に広がった。
中学校噂ネットワークは品川から東京までの新幹線の距離より断然早い。
“昨日までは付き合ってるらしいよ”だったのが“付き合ってる”に変わったんだから、これ以上に冷やかす輩が出て来る。
いや、どんだけ暇だ!
俺と結華の話なんざどうでもいいだろ!
「|日向野くんが好きです…!」
と思っていたのに、俺に付き合ってほしいと願い出す女子もいるなんて。なるほど、こんなパターンもあるのか。
同じクラスの佐々木夏乃、黒髪ロングのストレートヘアをいつも2つに束ね、静かで大人しくて、よく読書をしてるイメージがある。
どんな本が好きかって何度か話したことはあるけど…テキトーに話合わせた会話しかない。俺は本は読まないんだ。
そんな佐々木から告白されている、校舎裏で。
「日向野くんは女の子に見向きもしない、絶対誰とも付き合わない硬派な人だと思ってた」
どんなイメージ持たれてんだ俺。
「なのに、あの佐藤さんと付き合い始めるなんて…」
あの佐藤さんってのは引っかかるけど、別に硬派気取ってるわけでもないんだけど。
「私が…日向野くんと付き合いたかった…」
瞳を潤ませ静かに訴えてくる佐々木。
佐々木は俺のことをどう思ってるのか知らない。メガネかけてるだけでステレオタイプな考え持ってるのかもしれないけど、俺は実際勉強は好きだ。成績だってそれなりにいい。
でも女の子だって大好きだ。
「じゃあ俺と付き合う?」
にこりと笑って見せた。
その瞬間、佐々木がドブに転がるネズミを見るような目で俺を見てきた。さっきまでのうるうるさせた瞳は一瞬で消えた。
「ひどい、日向野くん…」
それと同時、俺にクズのレッテル貼られることになった。
なんだよ、せっかく期待に答えてあげようと思ったのに、付き合いたいって言うから叶えてあげようと思ったのに。
それは違うんだな。次はうまくやろ。