佐藤さん家のふたりとわたしと。
「あっはっはっはっは!!!」

結華の笑い声が町中に響いてる。

「笑いすぎだろ」

手まで叩いて、何がそんなに面白いことがあったのかっていうと…

「怜のクズ扱い超ウケる!」

マジで噂が広がるのは早い(本日2回目)
男友達には友好的に笑われたが、女子たちにはまぁ軽蔑された目で見られた。

マジで次からはうまくやろうと思った。そう思ってるところがクズなのかもしれないが。あと別に本気でやろうとも思ってない。

今日もいつも通り結華と家まで帰る。

「ほんとウケたんだけどー!超引いてたよねー!!」

ケッラケラ結華が笑ってるんだが、これはお前は笑うとこなのか。仮にも彼氏のあの発言にお前は怒らなくてもいいのか。

俺が言うのもなんだけど、怒っとけよ一応!

「あ~、おもしろかった~!めちゃ笑ったからお腹空いちゃったー!今日のおやつ何かな~♪」

結華が笑ってる間に家に着いた。

「じゃあね怜!」

「おう」

…と、リュックから家の鍵を出そうと思った。
うちの両親は共働きで、俗に言う鍵っ子の俺にとってそれは必須の持ち物だった、のに。

「鍵がない…」

勉強机の上に置いてそのままだ!!
家に入れねぇ!!!

「え、忘れたの?」

「たぶん、母さん帰って来るまでまだ2時間ぐらいあるな」

はぁっとでっかいため息が出た。2時間は長い。でもそこまで困ったことじゃない。

「じゃあうち来れば?」

困った時は隣の佐藤家に行くのが決まりだから。何の迷いもなく、うんと答えて佐藤家にお邪魔した。
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