佐藤さん家のふたりとわたしと。
「明日宿題何があったっけー?」

「数学と英語だな」

「じゃあ数学怜教えて♡」

「………。」

結華の部屋は2階の1番奥、佐藤家は年齢順に年功序列で部屋が決まっている。
てか逆に1番奥って遠くて不便だな。

「お前の部屋相変わらず目がチカチカする」

「可愛いでしょ、おもちゃのミラーボール♡」

「どの瞬間使うんだそれ」

とにかく派手なものが好きな結華の部屋は目が痛いけど、それも慣れっこだ。

真ん中に置かれた正方形のテーブルに向き合うように座った。

「じゃあまず数学からな」

「うん、しょっぱなからわかる気がしないけどがんばるわ」

「応援はする」

教科書とノートを開いて、結華に説明しながら問題を解いていく。案外素直にうんうんと聞くから、さーっと宿題が進んでいく。意外にも宿題は捗った。

「ねぇ怜」 

「ん?何?どっかわかんないとこあった?」

「うん…」

あと少しで自分の方が終わる、だからこの問題が解き終わってから結華の宿題を手伝おうと思いノートに目線をやったままだった。


「キスするタイミングってここじゃない?」


その言葉に思わず結華の方を見た。


「…なるほど」


確かに。
そのタイミングだ。

「なんかムード作ってよ」

「俺が作るのかよっ」

ムードの作り方なんかわからねぇぞ、したことねぇんだから。 

…とりあえずシャーペンを置いた。

それで、結華の隣に座るように移動した。

「「………。」」

視線を合わせて、手を握ったりして、あとは目をつぶる結華に…


「結華お姉ちゃーーーーーん!!!」


勢いよくドアが開いた。

「あ、怜お兄ちゃんもいた!」

芽衣だ。
お前も鍵忘れてここに来てたのか…!

「おばあちゃんがおはぎ作ってくれたよ!食べる?」

その後ろにはもちろん結華の弟たち、双子の大志と奏志もいてニヤニヤとこっちを見てくる。

「ありがとう、芽衣。あたしたちも食べるから下に行くわ」

もうこうなったらタイミングはおしまいだ。

芽衣に腕を引っ張られる結華について階段を降りた。

「「なんかやらしー」」

と、小声で話してた双子をどついて。
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