佐藤さん家のふたりとわたしと。
「あ、大志は!?大志はいないよね!!」

「なんで俺はいないで決めつけなんだよっ」

一通り声を出したら疲れた。

はぁっと大きく息を吐いて、ソファーから降りて2人の間にぺたんっと座った。

「…お兄ちゃんもいるのかな、彼女」

結局もう一度この話になってしまう。
ずっと頭から離れないんだもん。

「…そんな凹む?」

さっきからずっと困り顔の大志。

「たぶん、ちょっと…ビックリして。お兄ちゃんいっつもバイトばっかで忙しそうなのに彼女いるのが意外だったなーって思って」

いくら兄でも私の知らないところがあるのはあたりまえなのに、なんでこんな胸がザワザワするんだろう。

「忙しくても彼女作ろうと思えば作れるだろ」

「さっすが彼女いる人は言うことが違いますねっ」

「さっすがブラコンは違いますねっ」

「ぶ、ブラコン…!?」

それにもビックリして息が漏れた。

え、私ブラコンなの!?

それも考えたことなかった。

だってブラコンってお兄ちゃんに対して強い愛着とか執着を持ってる状態を言うんじゃないの!?

こんな会ってない兄に何をそんな思うことがあるの?今お兄ちゃんが何のバイトしてるのかも相変わらず知らないのに!

そんな話をしていると玄関から「ただいまー」と声がした、同じテスト終わりの織華ねぇーちゃんが帰った来た。

…織華ねぇーちゃんにはそんな相手いたりするのかな?

「だーかーらー!いたからって何なんだよっ」

案の定そんな話をしたら奏志にかったるそうに答えられた。

「だって気になるじゃん!」

この話は終わりだと無理矢理締められた。
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