佐藤さん家のふたりとわたしと。
佐藤家に戻ると準備はすでに終わっていて、優志も中学校から帰って来ていた。完全に皮待ちだった。

リビングのテーブルに広げられたたくさんの餃子の餡の入ったボウルを囲ってみんなで包むことにした。

織華ねぇーちゃんが持ってきてくれた並べる用のお皿に、包み終わった餃子を順番に並べていく。
さささっと次々に作っていく器用な奏志に比べて…

「大志下手過ぎない?」

「え?餃子ってどう作んの?全然上手くできないんだけど」

「具入れ過ぎなんだよ」

「いっぱいのが美味くない?」

不格好ってにもほどがある餃子が出来上がっていた。双子でもここは似ていない。

「大志が食べるならいいと思う!」

「食ったら一緒だかんな!」

織華ねぇーちゃんと奏志の前にはどんどん餃子が量産されていった。でも全く餃子作りに参加しないのが…

「優志は作らないの?」

「僕は食べるだけでいいよ!」

にこっと笑う優志。佐藤さん家は優志のこの顔に最強に弱い。かくゆう私もその1人。

「じゃあ私が優志の作ってあげるね!」

「うん、よろしくね!」

お皿の上にいっぱいの餃子が出来上がった。

「これで終わり!」

織華ねぇーちゃんがお皿に乗った餃子をキッチンへ運ぶ。それでも持ち切れない分は大志と奏志が運んだ。私は空っぽになったボウルと包む用の水の入ったお椀を持った。

「めいちゃん、僕お椀持つよ!」

「ありがとう優志!」

…迷ったけど、やっぱり気になって優志にも聞いてみた。優志にもそんな相手はいたりするのかな?って。

「いないけど。なんで?」

「わっ!そうだよね!優志もいないよね!」

「…なんで嬉しそうなの?」

「えっ…!」

不審がられた。

「…なんかみんな遠くにいっちゃうみたいで、寂しくない?」

「さぁ、僕にはよくわかんない」

「そっか」

何が寂しいのかハッキリはわからないけど、ただ急に1人取り残された気がして…何なんだろうなこの気持ち。

みんなで作った餃子はおいしかった。

こうしてる時間が1番楽しくて好きだな、やっぱり。

そう思った。
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