佐藤さん家のふたりとわたしと。
次の休みの日、大志を誘って大好きなタピオカを飲みに行った。

「芽衣好き過ぎない?しょっちゅう飲んでる気が…」 

「こないだ奏志と飲んだらおいしかったの!大志にも飲んでほしい!」

「俺そんな好きでも嫌いでもないけど」

スーパーの一角にあるクレープとタピオカのお店、イートインスペースで2人でタピオカを飲んだ。

「そーいえばね!お兄ちゃん彼女いなかった!」

「あ、そーなの?違ったんだ?」

ストローでくるくるとタピオカの入ったミルクティーを大志が掻き回してる。

「うん、結華お姉ちゃんが言うんだから間違いないよ!」

「それ信憑性あるの?」

「ある!だって結華お姉ちゃんだもん!」

「そう?じゃあよかったじゃん」

「うんっ!」

奮発して頼んだ生クリームのトッピングされたタピオカ抹茶ミルク、スプーンを使って生クリームから食べた。

「てか奏志もいないよ」

「そうなの!?騙されたし!」

生クリームが甘くておいしい。今日は一段とおいしく感じる。

お兄ちゃんに彼女がいなくてよかった。

…ってよかったのかなそれ。

生クリームをすくう手が止まった。 

なんで喜んでるの?何に安心したの? 

だってこれじゃあ、やっぱりブラコンだ。

「…私も早く大人になりたいな」

「歳は取るんだから大人になれるよ」

「むぅ、そうじゃない!」

「わかってるよ、俺も思うよ。ショック…とまでは言えないけど寂しいとか、そんな風に思うのも普通なんじゃない?」

大志のタピオカミルクティーが一気に減っていく。あっという間に半分がなくなった。

「…大志は優しいね、私に合わせてくれたんでしょ」

「え、そんなことっ」

「嬉しいからタピオカあげちゃう♡」

スプーンですくったタピオカをミルクティーの中に入れた。

「あぁ、さんきゅ」

「ここのタピオカめちゃうまなんだよー!」

嬉しかったから。

「…なに?人の顔見つめて」

「ううん、おいしいでしょ!」

「うん、普通」

この先怜お兄ちゃんに…奏志に…彼女ができたとして、それはきっと寂しいなって思っちゃう。

でも私も大人になるから、大丈夫だって思える日が来るとは思う。

だからね、それまでもう少し待っててほしい。  

なるべく早く大人になるから。

「大志は彼女いるの?」

「いないよ、ずっといないよ」
 
「そっか、よかった」

「よくないよ!」
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