佐藤さん家のふたりとわたしと。
財布に入ったお金はこないだのバイトで稼いだ残りの分…お鍋の材料ぐらいは買えるか!大丈夫!

正志お兄ちゃんがカートを引いてくれる。
上には佐藤さん家のカゴ、下は日向野家のカゴ。

「芽衣ちゃん家は今日何するの?」

「うちもお鍋にする、お兄ちゃんがいる時の冬は基本鍋なんだよね。ラクだから!」

「煮込むだけだもんね。うちは家族多いから鍋するにも一苦労だけどね~。笑」

「確かに!笑」

探していたしらたきを正志お兄ちゃんがカゴに入れる。
我が家なら1つで充分なとこ、さすが大家族の佐藤さん家!も3ついる!

「うちは食べ盛りの弟も妹もいるから」

「そうだよね!学校でも2人ともよく食べてるとこ見るもん!笑」

同じようにしらたきをカゴに入れながら、安くなったお肉もカゴに入れた。頭の中で計算しながら予算オーバーしないように。

「いいねぇ、仲良くて」

「え?大志と奏志と?」

「うん、いつもよく遊んでるでしょ」

「遊んでるっていうか…それが日常って感じかなぁ、あたりまえすぎてなんだか。正志お兄ちゃんは?仲良くないの?うちのお兄ちゃんと!」

正志お兄ちゃんと怜お兄ちゃんは1歳違い。
うちのお兄ちゃんのが1歳年上(結華お姉ちゃんとは同い年)で、きっと生まれた時から私たちみたいに一緒に育ったはず。

…でもそんなに遊んでるイメージはなくて。

結華お姉ちゃんとはよく飲んだりしてるみたいだけど、正志お兄ちゃんとは…それでも幼馴染みだし男同士だし同じ大学生だし一緒に遊んだりしないのかなぁ。

「あんまりないかなぁ…、怜くん忙しいしね」

「あぁ…そうだよね」

それを言われたら納得しかない。基本家にいなかったわお兄ちゃん。

「妹の私でもほっとんど会わないしね」

「子供の頃は遊んだりしたけど」

「あ、やっぱりそーなんだ!?そんな話あんま聞いたことないから新鮮!」

何して遊んだとかどんな子供だったとかいろいろ聞こうと思って期待した私に嘆くように正志お兄ちゃんが息を吐いた。
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