灰に汚れた六月に、世界を
閉塞と千を越える世迷言が渦巻くこの街が終わりを迎える。桐子は胸を高鳴らせながら、呪いをいつでも発動できるように準備した。

その時はついにきた。真昼の空が一瞬で黒に染まる。まるで夜のようだ。そして雷鳴が轟き、轟音を立てて落ちていく。合図だ。

「消えろ!」

桐子の手から飛び出した黒い光線が、街角にそびえ立つビルを貫く。焼けたビルから立ち上る黒煙が空に上がっていく。桐子は次々に光線を放ってビルを次々に破壊していく。そして、嘘と綺麗事で回る世界はこんなにも簡単に終わらせられるのかと思った。

人々は顔色を変え、悲鳴を上げて逃げ惑っているのが見える。あまりにも滑稽で、桐子は大声を上げて笑っていた。刹那、背後に巨大な鳥が現れる。

鳥は鳴き声を上げ、翼を大きく動かして攻撃をしてくる。この鳥は見たことのあるものだ。

「桐子!お前、何こんなことやってんだよ!」

声のした方を見れば、一つのビルの屋上に悟が立っている。そして、桐子を見上げて怒っていた。
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