“好き”じゃない勝ち・“好き”の負け
「好きだよ。愛してる」


「…………っ!」



僕は文乃からゆっくりと離れた。

僕と目が合うと、文乃の顔がみるみる真っ赤になっていく。



「ううっ……」



文乃は声を小さく上げて、顔を両手でおおった。


あっ、やばい。


すっごい可愛い。

今日、僕はこの可愛さで死ぬのだろうか。



心臓が苦しいくらい暴れ回って、身体中が熱い。


少し両手から顔を上げて、こちらをちらっと見てくる。

ああ、可愛い。


抱き締めたい、そんな衝動に駆られたのは、すぐのことだった。
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