聖夜のおとぎ話
可惜夜の温度
「寒い…」
コバルトブルーのもみの木、スノーホワイトの光のトンネル、噴水はサフランイエロー。
古びたベンチにだって点々と淡い光が咲く。
―12月24日、23:59
クリスマスイブの今日、私、七瀬 冬侑(ななせ ふゆう)は突き刺すような寒さに肩を上げて、いつものように君を待つ。
比較的広めな公園のはずなのに、人はまばら……というか、見える範囲では私以外に一人もいない。
ここの街自体、人口が少ないし、イブの真夜中に公園に来る人なんて夜型のカップルか私達くらいだ。
…あ、25日。
冷たくなったスマートフォンを起動させると、ここのイルミネーションを写したロック画面に“24:00”の文字が重なる。
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