聖夜のおとぎ話
会えない分、彼の事を考える時間は多いし、目が合うだけで幸せだった。
ずっとこのまま、一緒にいられたら。
冬以外の季節でも小麦と話したい。
例えば春なら公園に咲く満開の桜を、夏にはサンタさんとは真逆な暑くて眩しい空を、秋になればひんやりした空気の中でオレンジ色の夕焼けを。
イルミネーションとは違う綺麗なものを小麦と見てみたい。
だけど、小さい頃には考えもしなかった事を、ある日ふと思った。
――私は、小麦がクリスマスイブの日以外に何をしているのか知らない。
小麦は、私と違う世界の人?
想っていていいの?