聖夜のおとぎ話
「…クリスマスは終わりました」
「だからなんだよ」
「…サンタさんなのに、高校生やるの?義務教育とかも、したの?小麦はサンタさんでしょ?」
「サンタだよ、一人前になったから届けるのに都合いいとこに引っ越したんだよ。
サンタだって普通の人間だからね、俺の事なんだと思ってたの」
「ファンタジーの世界の住人」
「……お前といるとペース崩れるんだけど。黙ってくんないかな」
むかっとして小麦を見上げると、彼の顔は真っ赤に染まっていた。きっと太陽のせいじゃない。
手で隠しているけど、見え見えだ。
「冬侑、俺今から告白するんだよ。
格好つけたかったのに、なんだよファンタジーの世界って。
現実だよ馬鹿。力入んねえ」
「…っ知らない」
強めの力で引かれたと思えば、私は小麦の腕の中にいた。