聖夜のおとぎ話
普通に隠れもせずに屋上にいるけれど、転校して初日で授業をサボった男、とかって学校中で話題になるんだろうな。
「てか、一年に一回ってなに。会いたい時に会えばいいじゃん」
「サンタさんが普通に同じ世界線で生きてるなんて思わないし!」
「はいはいごめんね、許して」
子供をあやすような話し方をする小麦を思いっきり睨んだけど、小麦へのダメージはゼロ。
むしろ楽しそうだった。
「昼間っていいね、冬侑の顔がよく見える
……六年も待たせてごめん」
壊れ物みたいに、私の頬に優しく触れて顔を近づける。
「…冬侑、返事は」
「…好き、大好き小麦」
サンタさんとの恋が実ったその日、真っ白な雪が降った。
宝物のスノードームみたいに。
これが私とサンタさんの、素敵なおとぎ話。