聖夜のおとぎ話





五年前、あの日も私はこの公園にいた。






サンタさん来るといいな、なんて思いながら眠った24日。





日をまたぐ少し前、大学生だった兄と高校生だった姉に「イルミネーション見に行こうよ、お母さん達には内緒」と起こされた。





当時小学生だった私が普段真夜中に出歩くことができるはずもなく、兄達に誘われたその日、すぐに「行く!」と返事をした。





「厚着した?大丈夫?」





「だいじょぶだよ!コートも、マフラーも、手袋もしてるから!」





「こんなこと本当はしちゃいけないんだけど、真夜中にしかあのイルミネーションやらないから。
冬侑もびっくりするぞー?」






にしし、と自慢げに笑う姉を見て、これからどんなものが見られるのかな、とワクワクした気持ちでいっぱいだった。





不安げに私と周りを交互に見るお兄ちゃんと、楽しそうなお姉ちゃん。





二人と手を繋いで、電灯だけの光を頼りに見覚えのある道を歩いた。


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