聖夜のおとぎ話
「わあ…っきれい!」
着いた瞬間、キラキラした目の前の世界に私は釘付けだった。
真夜中がこんなに綺麗な時間だったなんて、知らなかった。
少ししてから、噴水よりも奥にあるいつも遊ぶ遊具もイルミネーションになっているのが見えて、そこに行きたいとお願いした。
ジャングルジムも、ブランコも、滑り台も。
みんなみんな綺麗で、昼間の公園とはまるで違った。
赤も青も、見たことある色なのに、今日はどうしてこんなに綺麗だって思うんだろう。
「…っくしゅん」
今のは私じゃない。でも、滑り台のほうにいる兄と姉の方向とも違う。
聞こえたのは、後ろ。
「だれか、いるの?」
後ろを振り返ってみても、人影なんてものは無く、あるのは大きなもみの木とベンチ。
くしゃみをするほど寒くて困っている人がいるのかも、って私は足を踏み出した。