聖夜のおとぎ話
一年後。
「見つけた!こむぎ!」
「ふゆう、俺のこと覚えてたんだ」
去年と同じ場所、同じ時間、もみの木の裏で青いサンタさんと再会した。
季節が変わっても、小麦の事は忘れなかった。
また会いたくて、夢かもしれないなんて思いながら一年を過ごした。
…やっぱり夢じゃなかったんだ、嬉しい。
「ねえ、こむぎはここで何してるの?お仕事は?」
「プレゼント届け終わったところ。帰る前に休憩してたんだ、俺のトナカイまだ子供だからすぐ疲れる」
「ほんとにトナカイに乗るんだ…!すごーい!」
「ふゆうがもう少しでかくなったら乗っけてやるよ」
「いいの?乗りたい!」
小学校六年生の私が真夜中に一人で外に出ることなんて出来なくて、去年と同じようにお姉ちゃんに呼ばれて、すぐに小麦と別れることになった。