Hello,僕の初恋
「おおー! すごいイイじゃん、コレ」
アイトくんがそう言って、みんなも「すごいすごい」と私を褒めちぎる。
やっぱり自信なんてないけれど、こんなに褒められるのは生まれて初めてで、なんだか照れくさかった。
もしかすると、一生分褒められたんじゃないかな、とさえ思えてくる。
「ライブまであと二週間しかないのに、遅くなってごめんなさい」
本番まであまり時間がないのに、すぐに書けなくて本当に申し訳ないな、と思って私は詫びた。
アツキ先輩が、首をぶんぶんと横に振る。
「余裕余裕! ノゾムの書いた仮の歌詞で練習してたしさ。お蔵入りになってよかったな、ノゾム!」
「アッくんすぐそういうこと言う」
ノゾムくんがぶすくれた顔でそう言うので、その場は一気に笑いの渦に飲み込まれてしまった。
ブラックコーヒーのみんなといると、本当に楽しい。
自分が必要とされているのが実感できるし、何よりノゾムくんといられることを嬉しいと感じていた。
これが『恋』なのどうかの答え合わせは、まだ出来ていないんだけれど。