Hello,僕の初恋



「ねえ、名前何にするの?

ライブで配布するペーパーにさ、作詞者の名前も載せるんだけど、本名でいい?」



ミカ先輩がコーヒーを啜りながら、私にそう問いかける。

ペーパーに名前が載るなんて知らなかった。



クリスマスライブには数組のバンドが出演するし、きっと他の高校の子たちも観に来るんだろう。

本名はちょっと恥ずかしい。いや、無理すぎる。



「ミカ先輩は、何ていう名前で載せてるんですか?」

「私はsugar。コーヒーに入れるなら砂糖かなって……」



私の質問に、ミカ先輩は照れくさそうに答えた。

彼女の手元には、コーヒーに入れたであろう砂糖の袋が二つ転がっている。



「こいつ、甘党なのに『ブラックコーヒー』の打ち合わせでは絶対コーヒー頼むんだよ。験担ぎって」

「ちょっと、アツキ!」



見かけによらず甘党なところを突っ込まれて、ミカ先輩はアツキ先輩の肩をぽこぽこと殴る。

ていうか、可愛いな、先輩。
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